【短編小説】心理的瑕疵メモリー
「いらっしゃいませ」
ドアを開けると中からは過剰に暖かい空気が喘ぐようにして、私を押し退けながら外に出て行った。
店内をちらりと見渡して、私に声をかけたと思しき店員の前にある椅子を引いて座った。
金属の細いフレームは四角く、座面には布ケース越しにでもわかるハニカム構造のクッションが置かれている。
私はそのクッション(とても柔らかい!まるで干したての羽毛布団みたいだ!)に腰を下ろして臀部に硬い座面を感じながら
「こんにちは、どうも。何か良い記憶を探していまして」
と当たり前の挨拶をした。
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