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日常を素晴らしく『赤毛のアン』

マガジン『人生を変える本』では、おススメの本と、その本から学べる人生を変える視点を紹介します。
第2回の本は、『赤毛のアン』
人生を変える視点は、"日常を素晴らしく"
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私たちは、日常に退屈しがちです。この退屈な日常がひとりでに、自分が何もせずに変わることを望みがちです。
何か面白いことが起こらないかな…。良い人に出会えないかな…。お金持ちにならないかな…。

このように日常に対して受け身・否定的になると、日常はつまらないものになります。人生の大半である、日常がつまらないことは、大変苦痛で不幸なことです。

これに対し、『赤毛のアン』の主人公アンは、"日常を素晴らしく"するのが得意です。作中の至るところでその様子を見ることができます。以下で紹介するのは、そんな場面の1つです。

村人たちはただの「並木道」と思っていた道に、おじさんとアンが通りかかったとき。アンは「並木道」のことをおじさんに尋ねました。おじさんは何も知らないため返答に困り、「きれいだね」と返します。その言葉を受けたアンは、

「きれい?あら、きれいなんてのは、あれにぴったりする言葉じゃないわ。美しい……でもいけないし……どっちも言いたりないわ。ああ、すばらしかったわ。想像をつけたすことのできないものなんて、これがはじめてよ。ここのところがすうっとしたわ。」と、片手を胸にあてて言いました。
(中略)
「あそこを並木道なんてよんではいけないわ。そんな名前には意味がないわ。ええと—『歓喜の白路』ってのはどうかしら。詩的でとてもいい名前じゃない?。」

と返します。このように、「並木道」という何気ない日常から素晴らしさを発見し、その特別さを讃えるために、『歓喜の白路』という名前までつけてしまう。この素晴らしさを見つける主体性が、アンの強みの1つです。

しかし、アンがすごいのは、素晴らしさを発見するだけでなく、自分が素晴らしい存在になるための努力も出来ることです。
"先生になりたい"という夢をもったアンは、猛勉強の末先生養成のための学校に主席合格します。

日常の中に素晴らしいものがないか絶えず探す主体性、自分自身の夢へ努力する主体性。
これらこそ、私たちがアンから学べる人生への姿勢、"日常を素晴らしく"であります。

紹介図書
(挿絵で場面がわかりやすい)
L.M.モンゴメリ 著, 村岡花子 訳, Haccan 絵『赤毛のアン 新装版』, 講談社, 2008

(挿絵が控えめなのはこちら)
L.M.モンゴメリ 著, 村岡花子 訳『赤毛のアン』, 新潮社, 2008

参考文献

熊井明子 著, 『「赤毛のアン」の人生ノート : あなたの夢が実現できる7つの鍵』岩波書店, 2011

ヘッダー画像

キャンディ 絵『赤毛のアン』
https://www.ac-illust.com/(2019/05/24アクセス)

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