デング熱顛末記

2012年10月、インドに住んでいたときのこと。なぜインドに住んでいたかはまたいずれお話しすることにするとして、とにかくそのときはインドにいた。ある朝屋上に上り、育てている植物の様子を見てから下の階に行った。すると皮膚が日焼けしたようにヒリヒリするので日差しに当たりすぎたと思った。ちょっと休もうと思って少し眠ると、そのヒリヒリした痛みは引いていた。

その日、痛みが引いてから熱が出てきて、また食べ物にあたったのだと思い、行きつけの近所のジャイナ教徒のドクターのところに行った。ドクターもいつもの軽い感染症だろうと言っていつもの食中毒の薬を処方された。そのときはまだ大丈夫だったが、翌日、インドの友人とレストランに行って食事をしていたとき、だんだん熱が酷くなってきて頭痛もしてきた。その日は眠れば良くなるだろうと思って早めに寝た。

次の日、良くなるかと思いきや、頭がガンガンして体もフラフラしてきた。トイレに行って便器に腰掛けたところで失神。ジャイナ教徒のドクターのところにまた行ってきた。血液を採取して点滴を2本打たれて少しましにはなったが、血液検査の結果はまさかのデング熱。毎年感染者が出るのは知っていたが、自分がそんなものにかかると思っていなかったので驚いた。ドクターからは「今大きな病院に入院しても、今年は入院患者で溢れているし、家でもできることしかしてくれないので毎日血液検査しながら自宅療養すること」と言われた。「血小板数が著しく下がっていたので、その回復に良いザクロとキウイを毎日食べるように」とも言われた。また脱水を防ぐために常にスポーツドリンクなどをがぶ飲みして水分補給をし続ける必要があり、水攻めのようで結構辛かった。手足にはデング熱の特徴である、細かい赤い斑点が出ていた。自分はそんなに出なかったが、派手に出る人もいるとか。

このときは丁度お客さんが泊まりがけで来ていて、その人がたまたま看護師さんという奇跡のようなシチュエーションだった。その人や友人の助けを借りて毎朝ドクターの検査を受けながら自宅療養を続けたところ、数日で血小板数の数値が元に戻ってきた。

デング熱は回復期に入ってきたが、今度は身体中が痒くなり、夜もまともに眠れず、また鬱症状も出てきた。1週間はこの状態だったはず。体が回復して水分吸収力が戻ってきたので、ドクターから今度は水分摂取を減らすようにとの指示が。そうこうするうちにいつの間にか治っていた。ちなみにデング熱には4つの型があり、感染したことのある型には免疫ができるが、一度かかった後で感染したことのない型に感染すると重症化して出血熱を伴うこともあるそうなので、デング熱ウイルスをもった蚊に刺されないよう注意が必要なのだとか。

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