Library
いつもと違う短編、4編目です。稚拙で読みにくいと思うので、『まぁ、暇だし読んでやってもいいかな。』という時に見ていただければ幸いです。暇さえ無駄遣いさせてしまうかもしれませんので、あらかじめお詫び申しあげます。ごめんなさい。
忘れかけていた封を切りかけたままの手紙を、引き出しの奥から引っ張り出して、テーブルの上で解凍させるみたいに、ただ載せたまま、そのまま眺めていた。
切手の端が巻き込まれて千切れかけているその手紙の出入り口を、開けるでも閉めるでもなく、僕の指が往復していた。
甘いものが何かに溶けていくような感覚で恋をしていたと思う。
あの冬。キラキラするイルミネーションの街で、何よりもぼくの心は輝いていた。溶け出すような光の中で
『そうか、ぼくは君が好きなんだ』
と気付けたことが嬉しくて、寒いなか何時間もひとり歩き続けた。
君と同じ視線で見つめる季節を重ねられることが嬉しくて、楽しくて、普段やらないことすら好んでやった。乗せられたマジックショーのお客みたいに、自ら雰囲気にのまれて浮かれていたんだと思う。だけど、僕はなぜだか幸せだった。
やっぱり何か、甘いものが溶けていた気がする。いつもふと、幸せの香りがした。
底の方に砕けてるシリアルの欠片を指にひっつけて『きれい。』と笑う、そんな君が好きだったから。
結局、同じ季節は来なくて、それはだんだんと色すら失っていった。出せなかった手紙は、いくつも僕の手元に残ったまま。
そしてまた僕の好きな季節になった。
“どんなに思い返しても、幸せだったよ”
君を好きになったこの季節から
またもう一度、書き出したい
そんなことを考えて、薄暗くなった部屋の隅、気の抜けたコーラをのどに流し込んだ。とりあえず、立たなきゃな。
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