木曜日の朝に。 33朝
「おはようございます。」
二階でゴトゴト音がして、ハッと起きる。
そうだった、朝練だった。慌てて卵を焼く。
炊きたてのごはんをボウルに冷まし、ゆかりを混ぜておにぎりを作る。
今日は三女もお弁当だから、二人分。
外はまだ暗くて。
キッチンの小窓からしか、明るさがうかがえなくなったのは、カーテンを替えたから。
青みがかった濃い緑の、クラシカルな色。
ぐんと落ち着いた大人っぽい部屋になった。
クリスマスの似合う色。
夏は夏で、森林の色になるだろうか。
この家が新築のころは、ログ材の木も若く、明るく薄い色をしていた。床材もまだ馴染まず、時々足の裏に棘が刺さったり、柵のところから、木の節目がポコんと出てきたり、長雨で玄関のドアが膨張して開かなくなったりした。季節ごとに、そこらじゅうでミシミシと言っていたログ材は、そういえば近ごろは静かになってきた。住んでいくうちに、木が、この環境や役目に馴染んだようだ。
と、ともに、色も深く濃くなってきて。
床材にツヤも出て、裸足にやさしくなった。
この家を建てる前、山中湖にある宿泊型の展示場へ泊まりにいった。新築の展示場ではなく、すでに何年か経っていて、落ち着いたログハウスの風合い、年を重ねるとこういう雰囲気になるのかと味わいながら一晩を過ごした。まだ小さな長女を連れて三人家族で、いろんなハウスメーカーを巡ったりしていたけれど、やっぱり「木の家がいい」と思ったのだった。
人と同じように、ゆっくりと、いつの間にか馴染んでいく。ばかりか、その風合いに品格を増していく。古くなるというよりも、魅力を増していくってかっこいい。ポール・アンカのオールディーズをレコードで聴きながら(オルゴールの箱みたいに音が響いて)、濃い色の木目を見ながら、年老いた自分たちを想像したりした。こういう風に歳をとっていきたいな、と思えた家だった。
「おはよう」
と、夫。つぎに三女が起きてきて、その度に猫がナァー(おはよう)と足にすり寄る。
ようやく白湯を入れて、ひとつまみの塩とレモンを垂らし、啜る。寝ぐせはもっさんもっさんで。
そうだった。
今日は午後から、三女の中学の「合唱祭」を、文化ホールへ聴きにいく。練習の様子を聞いていたから、とても楽しみにしていた。三女は生徒会の役目で、曲目紹介をするらしくて緊張していたけれど。
一緒に行くママさんたちと三人で、ランチ(和食にしたからねって)へ行ってから。
はて、何着ていこうかな。
そんな今朝は、この曲を♪
𝐇𝐚𝐯𝐞 𝐚 𝐧𝐢𝐜𝐞 𝐝𝐚𝐲🎧
長女が熱を出して寝込んでいて(受診したら風邪とのこと)、UVERを遠隔で頼んだり、鍋に入れるだけにしたお野菜やらみかんやらを送ったけれど。一人で心細くて、電話で泣いてるのがわかるから、しばらくつないだままで、関係ない話をしていた。そばにいると感じられれば、離れていても少しは安心できるもの、お互いに。
体調くずされている方も多いみたいですね。
水分と睡眠をしっかり摂ってくださいね。
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