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御所車に想いを馳せる

 久々にガチャガチャをしました。「御所車ごしょぐるまマスコット」です。
 「陸屋根・桃色」が当たりました。
 ピンクなので一見ナンダコレ感はありますが、サクラ模様と相まって、見れば見るほど落ち着いてくるようです。

車両が回ります。

 御所車(またの名を源氏車)というのは、いわゆる「牛車」の俗称であり、貴人や儀礼などで用いられることから、紋様としても縁起物として知られています。
 有名なのは、御所車と花が多く描かれている「花車」。
 「車紋」という家紋もあり、車輪を描いた図像が幾つかあります。

 牛にひかせているものを牛車ぎっしゃ
 それに対して、人の手で持ってひくのを輦車てぐるまと呼びます。
 
 神輿みこしと違って、牛車には(決まりの上では)五位以上の身分ならば乗ることができるということで、まさしく官人らの乗り物と言えるでしょう。その中でも、身分の違いなどから、御所車の形態も異なっています。

 僕はこれを偶然にも、大切な人と出かけている最中に見かけ、ガチャガチャを回しました。
 最初は、元々の歴史的な関心と今まで見かけたことが無いという物珍しさ、それと300円という現代ガチャガチャ市場では、安めの価格だったので、買うのを決めました。
 
 ですが今となっては、それらの購入きっかけから離れ、思い出の品となりました。自分史の史料なのです。
 そして、縁起物ですので、これからも幸福が訪れる、運ばれるのではないか、という期待も持てますし、なかなか気に入っています。

 ついでながら、七夕にも少し関連づけてみたくなります。

 織姫・彦星にはそれぞれ別の名称(中国)があり、織女と牽牛けんぎゅうがそれです。
 ここで御所車などを導き出すのは無理難題なのですが、この「牛ひき」というところに、農耕(用の牛)としてではなく、御車みくるまを動かす者としての風景を見出したいのです。
 助手席という名称などもそろそろ、パートナー席とでも呼ぶべきなのではないかと、ふと感じました。

 最後に、御所車に乗ったであろう貴族たちが、七夕を詠んだ幾つかの和歌から、一首紹介しておきたいと思います。
 作者は藤原俊成しゅんぜい
 鎌倉期に活躍した歌人で、百人一首で知られる藤原定家の父。
 貴族の嗜みから、「和歌の家(現代にも続く冷泉家など)」のちょうど勃興期にあたる重要な人物です。

七夕の かど渡る舟の かじの葉に いく秋書きつ 露のたまづさ

彦星が織姫に逢う為に天の川を渡る舟の舵(→梶)ではないが、
その梶におりる露のように、私はもう幾秋、
梶の葉に書きつづけたことでしょうか。
あなたをお慕いする手紙を。

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