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コロニアル・スタイル

(概要)
「コロニアル・スタイル」とは、イギリス、スペイン、オランダなど、西ヨーロッパの 列強諸国が支配した植民地各地で形成されていった、独自の建築様式の総称です(コロニアルとは植民地のという意味である)。宗主国の建築様式を基本としながら、現地での母国とは異なる諸々の条件に従って、アレンジが行われた結果、様々な形が生み出されていきました(建築家ら家具まで)。植民地へと移住した人々が、祖国の建築的伝統や住宅様式を土台として、それを借用しながらも、移住先の気候風土、建築材料や建築技術の制限、コストなどを勘案して、快適で健康な生活が営めるように創意工夫を重ね、その結果生まれたのが、コロニアル・スタイルです。そのためコロニアル・スタイルは、植民者の故国の造形様式にならいながらも、さまざまなかたちで形成されていくことになりました。

(本文)
コロニアル・スタイルは、多様なプロセスを経て様々な様式を生み出しましたが、なかでもその代表的な形式として指摘できるのが、「バンガロー・スタイル」を取り込んで形成・確立された造形様式です。「バンガロー」とは、もともとはインドのベンガル地方における土着のもので、平屋造りで建物の周囲にベランダを持ち、全体に傾斜の緩い大屋根をもつことが特徴的な、木造家屋の様式を指しています。そこでは、高温多湿な気候のもとで培われてきた、日照を防ぎつつ通風を確保するための建築的な工夫として、内部と外部の緩衝領域となる半外部空間となる「ベランダ」が、周囲に確保されていました。

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