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門前仲町「たにたや」さんと、季節のお弁当を考える。(その9 小満)

もはや「梅雨入り」なのか。今週から急に雨が強くなってきた。特に今年は「風」が強い日が多い。晴れても雨が降っても、風が強い日が続く。典型的な「亜熱帯」気候に似ている。実は気温も寒暖の差が激しくなっていることをお気づきだろか。コロナ禍もさることながら、私たちの地球(ほし)にも関心を向けて生きていきたい。

そんな天気具合をよそに、立夏から数えて既に15日目。本来であれば、陽気が良くなり、万物の成長する気が次第に長じて、天地に満ち始めることから小満といわれているのが、今回の節気。昨年の秋に蒔いた麦の穂が育ち、ほっとひと安心することから、「小さな満足 = 小満」となったともいわれている。

ようやく暑さも加わり、麦の穂が育ち、山野の草木が実をつけ始め、紅花が盛んに咲き乱れる時期。いま梅の実がなり、西日本では「走り梅雨」がみられる頃。田植えの準備を始まることで、既に真っ盛りというべきか。


日ごとに上昇する気温に合わせ、あらゆる生命ががすくすくと成長していきます。畑の麦は大きく穂を実らせ、野山や草木の青葉はどんどん深みを増してゆく。

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今回のお弁当は「目新しい」。和食とワインのたにたやさんが、いま取り組んでいることが如実に表れている。単純に洋食に目覚めたわけではない。もちろん洋食メニューもふんだんではあるが、自分の試したいことを、料理で表現し始めていることが嬉しく感じる。またたにたやさんの、最近の取り組みの中で面白いのが、新たにドリンクスタッフを加えたことだ。ワインが得意なTさんと言うべきか。「たにたや」といえば、フードの他にラインナップされるワインや日本酒をペアリングして、谷田さんがつくる料理をつまむのが「スタイル」だ。そのスタイルに『異文化』を入れ込んだのだ。

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『コミュニケーションの場づくりをしたい』と谷田さんが言う。

例えば今日のサンドイッチ。たにたや推しのパンと言えば、清澄白河にある「OVAL」ベーカリー。「30分並んで買ってもいいくらい素敵なパン!」という9種類のシリアル入りカンパーニュに、野菜たっぷりの特製メンチカツ(しかも自家製ウスターソースを3日かけて作り上げ、潜らせている)は秀逸だ。

僕はそこに、先ほどの新スタッフTさんの岡山のご実家から届いた「そら豆のフムス」をのせて「新たな味」を生み出すきっかけを作った。僕は、『美味しいものは、いろんな方法で食べて楽しむ』という手法を大事にしている。実は、雑誌「dancyu」植野編集長から教わった食べ方だ。同じものでも、その時間を過ごす人間として、できるだけ幸せに食事を楽しみたいという好奇心の表れだろうか。

実はこの食べ方も、谷田さんにとっては「異文化」だ。

最近「異文化コミュニケーション」に関する研究を大学ゼミに参加し、教えを受けている。そもそも異文化とは何か。

たとえば、初めて出会う日本酒の味は、僕にとっては異文化だ。自己理解があり、その中で「日本酒」という情報が自分の中で、味や体験として残り、その既存の情報の上に、新たな情報が乗っかってくる「異文化」「異次元」が、相互理解をおこし、新しい「味変(あじへん)」が産まれていく。

それを共有したりすることで、新たな食文化が生まれる素養なのでは、と感じているのだ。実は、それこそがコミュニケーションのはじまりであり、コミュニケーションの場づくりだと考えている僕は、密かに(noteに記載しているので、おおっぴらに)たにたやには期待している。

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そういえば、先日、「シン・エヴァンゲリオン」をみた時
「シン」「SHIN」というワードが気になっていた。

「新」「真」「信」「芯」「親」、、、、
さまざまなシンが存在するが、それこそ、まさに「異文化」、いや「異なる」という意味で、僕らは日々の生活の中で、さまざまな「異なり」を受け入れ、それを日常化しようとしている。

極論、コロナ禍も東京オリンピックも「異なり」であり、世界的に言うと、日本の、東京でしか起きえない「大きな異なり」だ。

緊急事態宣言がいつまで続くのかを憂うのではなく、「もはや新しい異文化だ」と受け入れ、日常化してステップするしか、日本に住んでいる、東京に住まう人にとって「日常」にするしかないと考えている。それをクリアした人は、既にステップしていて、成功し始めている。もちろんブランディングの方向性に無ければ、その異文化を考えなければならない。縄文時代から弥生時代に化けたように、すでにいまはsociety5.0の時代だ。

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とか、考えながら、すでにスーパーサンドイッチには、グリルしたズッキーニマリネが乗っている。

絶えずの「味変」が、この状況を乗り越えるスパイスだ。

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