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人事・組織xマーケティング考察

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マーケティングの核となる人間理解の考え方をベースに、組織や人事などについて考察しています。
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8回の転職を通じて分かったこと、思い知ったこと

8回の転職を通じて分かったこと、思い知ったこと

今回のCOMEMOのお題はこちら。

あまり人に自慢できることはないが、転職経験であれば人後に落ちない。
フルタイムとしては都合8回転職し、現在9社目のPreferred Networks社でお世話になっている。
なんなら副業として色々な企業・官公庁の支援もしており、このテーマについて駄文を記す資格くらいはあるのではないか、と考えてNOTEを立ち上げた。

・・・ものの、何を書こうかとしばし考えた

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マーケティング観点から人的資本経営を考えてみる

マーケティング観点から人的資本経営を考えてみる

筆者が仕事にしているマーケティングは「人の心に働きかけて、それを動かすことである」と考えると人事にとても近い。
顧客の心を対象にすれば、マーケティング、社員の心を対象にすれば、人事という次第。

そんなわけで筆者は最近、人事界隈の方とご一緒する機会が増えているのだが、その中でキーワード的に取り沙汰される言葉に「人的資本経営」がある。

人的資本経営。ちょっと調べてみたところ、概念的でつかみどころが

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2023年の働き方は、性悪説<性善説、管理ベース<モチベーション向上ベース、になりますように

2023年の働き方は、性悪説<性善説、管理ベース<モチベーション向上ベース、になりますように

筆者が今まで経験してきた企業の多くでは、物品購入や接待などのために経費を使う際、稟議による事前許可を得ることが必要でした。

そして、経費の支出後は、領収証などの証票とともに詳細を報告する業務、つまり精算が要求されることがほとんどです。

この事前許可と精算は、組織のお金を使う以上、必要なプロセスであるように直感されます。が、ここでちょっと筆者が、行動経済学者 ダン・アリエリー氏のオフィスで経験し

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意味がない会議、ない方が良い会議

意味がない会議、ない方が良い会議

今週、即ち2022年の3月14日(月)から18日(金)の5日間、幾つの会議がカレンダーにあるか、試しに数えてみたところ、36個ありました。

詰まっているところだと、30分の会議が隙間なく6スロット並んでいたりして。そんな日はなかなかに疲れます。

36個の会議、全てが有意義だったか、と言われると、そんなことはなく、何かが決まった感じも、何かが創り出された感じも、チームの士気が上がった感じも残らな

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テレワークとリアルはインド料理と和食のようなものであり、比べるものではない

テレワークとリアルはインド料理と和食のようなものであり、比べるものではない

「一番好きな食べ物は何か」と聞かれたら、筆者はインド料理を選びます。子供の頃から40年以上にわたり、香味野菜とスパイスが複雑に醸し出す辛さや香りが大好きで、海外に行った時、ご当地のものに飽きたらまず試したくなるのもインド料理です。

一方、お寿司や天ぷらなどの和食も好物です。出汁の風味が好きで、蕎麦やうどんは言うまでもなく、人目を気にせずねこまんまを頂きたくなる欲求も、定期的に訪れます。

という

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クライアント企業への出向者派遣は、相手の内在論理を知り、一体感を醸成するための戦略的な手段である

クライアント企業への出向者派遣は、相手の内在論理を知り、一体感を醸成するための戦略的な手段である

前回に引き続き、筆者が西友でマーケティング責任者をしていたときの話です。

組織の常で「ヘッドカウントが非常にタイトで人が足りない」という茶呑み話を、当時のパートナー広告代理店の営業責任者としていたら、なんと「ウチから出向させましょうか?」という話になりました。

パートナー代理店からご出向いただけるとあれば、仕事の流れも理解してくれている人が来てくれる可能性も高く、外部採用や内部異動よりも良いの

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人材をみぬくには

人材をみぬくには

こんにちは、富永朋信です。
日経COMEMOの、このお題について、考えてみました。

https://comemo.nikkei.com/n/n3d29983ca7e1?magazine_key=mb7af516ae320

人を見抜かなければならない状況としてまず思い浮かぶのは採用面接。新卒の面接も中途採用のそれも1時間といった短い時間の中で候補者の適性や強みといったことを見抜かなければなりませ

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どう変わる正社員

どう変わる正社員

こんにちは、富永朋信です。

今回もお題に乗っかって、以下について考えてみたいと思います。

「どうなる正社員」という問いを聞くと、「正社員」という言葉が、例えば「日本」「トヨタ自動車」「読売巨人軍」のように、何らかのまとまりを持った集団を意味するように思われ、トヨタにとっての日産、巨人軍に対しての阪神タイガースのように、何か対峙する概念があるのではないか、と感じられます。

正社員に対峙する概念

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「初任給」のみ変えても、意味がない

「初任給」のみ変えても、意味がない

こんにちは。富永朋信です。今回はこのお題について考えてみます。

初任給について、という問いを考えるには、そもそも「給料とは何か」という視点が大事なのではないかと思います。

ので、本稿ではまず、日本での給料の正体について考えを巡らせてみましょう。

給料は、企業全体から個々の社員へ、その利益を分配するシステムです。したがってその企業や、その企業が属する業界カテゴリーの利益水準を反映します。

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社員とフリーランス

社員とフリーランス

こんにちは、富永朋信です。

昨日はこのお題に乗っかって「正社員と契約社員」について記しましたが、今日は「社員とフリーランス」について、考えてみたいと思います。

働き方としての、社員とフリーランスの差異はどこにあるのでしょうか?

まず直感されるのは、「フリーランスは全部自分でやらなければならない」「個人事業主よりも企業の方が安定している」というような事柄ですが、これは正しいでしょうか。

企業

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「非正規」は正しいアジェンダか?

「非正規」は正しいアジェンダか?

今回もCOMEMOのお題「非正規の力をどう生かす」に乗っかって、色々考えてみたいと思います。

「非正規の力をどう生かす」というお題設定から感じ取れることは、この背景に「業務は原則的に正規=正社員で回すもの」という含意・前提が何とは無しにあるのではないか、ということです。

ところで、この前提は合理的でしょうか?

正規であろうと非正規であろうと、雇用の最小単位は人です。人x期間という理屈で戦力を

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軟禁みたいなリモートワークは、もう止めよう

軟禁みたいなリモートワークは、もう止めよう

私の知人に、大手広告代理店で営業を担当している人がいます。

彼女の会社も、ご多分にもれずリモートワーク指示が発令され、緊急事態宣言下ではリモート必須、現在は必要に応じて出社を許可する、と言った運用がされているようです。

その所属する部署におけるリモートワークは結構ハードで、朝礼的なミーティングから、夜〜深夜にかけての業務終了時まで、ずっとオンラインであることが求められ、かつ、あたかもオフィスに

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戦略的なサボりが許されるのは、自己管理の技術がついてから

戦略的なサボりが許されるのは、自己管理の技術がついてから

20年ほど前、筆者はコカ・コーラの自販機とiModeをシステム的に繋ぐ、その名も「Cmode」というプロジェクトをコカ・コーラ側で担当していました。これは携帯電話で飲料が買えたり、自販機でコンテンツが買えたりする様にする、当時としてはかなり画期的な内容だったのですが、カルチャーがまるで違う数社を横断してのプロジェクトは複雑を極め、最初に決めた記者発表のデッドラインは、刻一刻と迫ってきました。

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