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自死した母親が彼女「まや」に遺した呪いの言葉

彼女がまだ中学生の頃、
震災で父親を亡くした後に彼女「まや」の母親は彼女の部屋で「あんたのせいだ」という呪いの言葉を遺して首を吊って自死した

その後、転々とした親戚からも25歳で亡くなるその時まで「あんたのせいだ」と言われ続けてきたそうだ

自分と付き合って自分を頼った震災の日にも親戚から電話がきてそう言われたと話していた

今年は初めて言い返せたと彼女は言ってた
その理由を「何かあってもあなたが居るって思えたから」と彼女は言った

おかしな話だよね
親代わりなんて名乗る方達が居たはずなのに彼女は独りで苦しみ続けていた

彼女は「何かあってもその方達が居るから」とは思わなかった

この震災の日も、

本当の親代わりだった師匠が亡くなって初めて迎えた震災の日だったから、
「今年はどうしようかと思ってた」
「呼べば居てくれて ほんと助かった」
と言っていた

親代わりなんて名乗る方達がいたはずなのにだよ?

「師匠は居なくなってしまったけど、その方達が居る」と思っていたら、
そんな言葉は出なかっただろうし、
自分を頼らなくてもその方達を頼ればよかった話だよね

彼女は親代わりと名乗る方達の事を「今も残っている友達」と表現していた
親代わりと表現したのは師匠のみで、その方達の事を親代わりのような存在と言った事は一度も無かった

親代わりと名乗る方達もこの日電話をかけたそうだけど、
師匠の代わりにそばに居てあげる事はしなかったし、
彼女も師匠の代わりにそばに居てほしいと頼らなかった

結局、翌朝4時頃にようやくあの子が眠れるようになるまでLINEと通話で自分が時間を共にして支えた

死後に震災の日のこの事を親代わりと名乗る方に聞いたところ、その方の親族と名乗る方がそのLINEのメッセージを見て真っ先に言った言葉が以下のもの

彼女の死後まで面識の無かった自分がこの方達が何をしてきたかなんて知る由もない事はもちろんのことだけど、
なぜ、電話をかけるだけで彼女を放ったらかしにしてた人達が実際翌朝4時まで時間を共にして支えた人間に対して親代わりとして礼を言うでもなく、一方的な想いを言えるのだろう?と正直に思った

そんな想いがあるのなら、なぜ師匠の代わりにそばに居て支えてあげずに放ったらかしにしていたのか

自分があの日見た彼女の姿は、先にも書いている通り「師匠が居なくなって頼れる人がおらず、独りで困って自分に頼ってきた」でしかない

親代わりなんて名乗る方達が居たのなら、なぜ彼女がそんな風に言って独りで苦しんでいたのかとしか思わない

彼女が頼らなかった事が全てだよね
その人達には頼れなかったんだよ

彼女にとってはその方達は「今も残っている友達」であって、自分に対して思えるようなこの程度の事さえその方達には思えないと言っていたのだから

他人と深く関わる事をやめ、
他人との間に壁を作ってきた彼女が初めて他人である自分に対してだけこうやって気遣われたり、何かをしてくれる事を悪いと思わず素直に嬉しいと思えたんだそうだ

だから彼女は人生の中で初めて自分に対して恋心をいだいた
初めはその気持ちが恋心であると理解すら出来ずに戸惑っていたよ

少し話がそれたけど、
そうやって、
結果的に電話のみで何もしなかった親代わりなんて名乗る方達の代わりに彼女を支えた彼氏をその方達は葬儀から排除した
自分が至らない人間だった事ももちろんあるだろうけど、彼女を支えてきた面に最低限の礼儀さえ通してもらう事は叶わなかった
それは仕方ない事だろう

では、彼女の想いはどうなる?
亡くなる直前まで「あいたい」と遺して死んでいった彼女の言葉は、「葬儀に呼ぶように形に遺していなかった」というだけで「本当にあいたかったわけじゃない」なんて言われて否定され、無視されて会わせてもらえないまま送り出された

亡くなる直前の、

こんな状態の中で本当にあいたいわけでもないのにあいたいなんて遺せる余裕があったと思える方が普通じゃないと思ってしまうのは自分だけだろうか?

亡くなる20日近く前に作られた形の中で「葬儀に呼ぶように」と遺していなくても、
亡くなる直前に「あいたい」と遺して死んでいったのならその言葉に耳を傾けるのが彼女を本当に大切に思うのなら普通なのではないだろうか?
紛れもなく、彼女がこの世で最後に遺した言葉の一つなのだから

実際、約束したのも形を作っただいぶ後に「万が一の場合は弁護士から連絡がいくようにしてある」と彼女が切り出して自らした約束だった
彼女はその約束を親代わりと名乗る方には直接話していたのに、それさえも無視されてしまった

親代わりと名乗る方達や送り出した方達は、彼女の想いや願いよりも、自分がどういう人間であるかの方が大事だったのだろう
彼女の言葉や想いを二の次どころか無視して送り出したのだから

ともかく、
そうやって、入院してからも毎日時間を共にしてきて、亡くなる前日まで連絡をしてきていたのに翌日報告のみで別れの機会すら与えず切り捨てられたような終わり方をされるという事実を自分は突きつけられた

その時に思ったよ

彼女の母親の話を彼女から聞いた当時は、
彼女の母親がしたやり方やその後も彼女に「あんたのせいだ」と言い続ける親戚の人達の気持ちなんて一切理解なんて出来なかったけど、
彼女がこういう人としてどうなのか?と思うような酷い終わり方、残し方をしていった事でその気持ちが少しわかった気がする…と

なぜなら、
自分が彼女からこのやり方で切り捨てられた直後に後を追っていたら、恐らく同じような気持ちを抱えて逝っただろうから

当然、事情を知ったうちの親は彼女の親戚と同じように彼女に対してそう思っただろうし

話を聞いていた時には彼女は何も悪くないのに何でそんな酷い事を…
と思っていたけれど、
こういうやり方を平気で出来てしまう彼女の悪意の無い残酷性が母親を追い詰めていってしまったところもあったのかもしれないと思った
それを聞いていたから親戚は彼女にその言葉を言い続けたのではないか?と

それでもどうかとは思うけどね

他の記事でも何度も書いているように、
彼女が自分に対してしていったやり方は、人として当たり前の礼儀や筋を欠く様な本当に酷いやり方で、とてもじゃないけど大切な彼氏や少なくとも最後の数ヶ月間、毎日寝てる時間と仕事中以外の時間を共にし続けてきた相手に対してするようなやり方ではないと自分は思っている

残される側の苦しみは知ってると言っていた彼女が、別れの機会も与えないつもりで嘘の約束までして、亡くなる前日まで連絡し続け、未来を語り、愛を語り、時間を共にし続けていたのだから

そんな終わり方をされて残された側が普通に残される側になるよりも苦しむ事になるなんて容易に想像が出来るはずなのにね

そこまでしておいて、死後に送る言葉に「あいたい」や「だいすきだよ」なんて言葉をどういうつもりで遺せたのかな?とすら当時は思った

約束がまもられて別れの機会が与えられていたのなら、最後まで想い続けていたというその言葉はどれだけ幸せな言葉になっていた事か…

彼女はこう話していたよ

「母親みたいな人にはならない」って

そんな彼女が最後は彼氏である自分を「あんたは要らない」って葬儀に呼ぶようにしておかず、別れの機会すら与えないで報告のみで捨てていった
「あいたい」
「だいすきだよ」
なんて呪いの言葉を遺してより苦しめるおまけ付きで

やり方や言葉は違えど、
そうやって彼女自身が母親から与えられた苦しみと同じ苦しみを彼氏に与えて死んでいった
そんな風にする相手のどこが大切な人なの?

彼女はなりたくなかった母親と同じ人間になった
彼女の母親のようなストレートな悪意ではなく、だいすきだよ、ありがとうなんて言いながらナイフを突き立てて心を殺していった分、彼女の方が酷いやり方かもしれないとさえ思う

葬儀に呼ぶようにもしておかなかった相手に入院中、毎日朝から晩まで連絡して話をし続け、
巡回の看護師の目を盗んでまで眠れるようになるまで未来の話や愛を語り続け、
万が一の場合でも必ず最後は会おうね、会いに来てねとまもるつもりの無い嘘の約束までして騙して一緒に居続けさせて、
死んでしまったら一方的な報告と約束もまもらず葬儀にも呼ばないのだから「あいたい」なんて叶える気も叶えさせる気も無い呪いの言葉を遺してより苦しめていった

彼女のしたやり方も相当に酷いと思うよ

ただそれは結果的な話であって、
彼女がちゃんと葬儀に呼ぶように遺しておかなかったせいで彼女を送り出した人達が彼女の意思が無い中で彼女の想いや言葉を無視して送り出したのも事実なので、
彼女が望んでしたやり方でもなければ、彼女は呼んでもらえると信じて、約束したからきてくれると信じて「あいたい」と遺して死んでいったのかもしれないけどね

少なくともあの子は遺した「あいたい」という想いや願いを送り出した人達に無視されて送り出されたのだから

彼女だって、生きてあいたかったのであって、葬儀の場で「あいたい」ではなかったと思うよ
でも、亡くなってしまった事で彼女が旅立つ前に最後に会える場が葬儀の場だけになってしまったという事だ

入院中あいたいと頑張り続けて、
どんな形でも退院したら会うんだと直接話し、
最後まであいたいと言葉に遺して死んでいった彼女を会わせてあげないまま送り出すなんて酷い事がどうして出来てしまうんだろう?と彼女のその想いを身に受けて続けてきて一番知っている自分は思う

彼女は、そうやって送り出された事でなりたくなかった母親と同じ人間に「されてしまった」とも言えるのかもしれないね

どちらにせよ、
自分は別れの機会すら与えられず、
亡くなる前日まで愛を語り合っていた彼女から翌日「あんたはいらない」と別れの機会も与えてもらえず、見送らせてももらえなかった事実にかわりはない

その事実で死ぬまで苦しみ続けるだけ

自分を悲しませたり、苦しめたりする事は彼女自身も苦しむ事だったから、彼女は今も苦しみ続けているだろうね…


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