石原哲郎|脳と心の石原クリニック院長

現役医師が、認知症やパーキンソン病のことについて一般の人にもわかりやすい記事を作成して…

石原哲郎|脳と心の石原クリニック院長

現役医師が、認知症やパーキンソン病のことについて一般の人にもわかりやすい記事を作成しています。 趣味はコーヒー焙煎。味付けのりが好き。

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避難所での認知症の人と家族支援ガイド

震災に見舞われている方には、お見舞い申し上げます。 特に認知症の人が家族におられる方、介護事業所の方は自分も被災者であるにもかかわらず、利用者の支援を全力でされておられる方もおられると思います。 これから、避難所を作られる方々へ、資料として、以下を置かせていただきます。 参考にしていただけましたら幸いです。 徐々に追加していきます。 1月15日9:12追加 認知症の人と家族のための避難所でのかかわりについてGPTs 1月2日19:52追加 避難所での支援についてNHK

    • ダブルケアについて考える

      2月11日10時から「ダブルケア」研究の第一人者である相馬直子先生のお話を伺いました。 相馬先生は、2011年の東日本大震災後に、ご友人が言ったひとこと、「私、子育てと介護のダブルなんだよね」、からダブルケアという認識をしたとのことでした。相馬先生自体がケアラーであったということで、精力的に研究をすすめておられます。 本講演は、主に2023年にソニー生命が相馬教授とブリストル大学の山下先生の協同で行ったインターネットアンケート調査から見えてくることを中心にお話しされまし

      • 昨日の投稿で70日連続での投稿となりました。 毎日投稿は一旦お休みしたいと思います。 読んでいただいたみなさまありがとうございました。 今後は、ペースを落として、掲載したノートを見直して、修正したり、深めたりもしたいと思います。 引き続きどうぞよろしくお願いします。

        • 2月11日(日)「ダブルケア」研究の第一人者に学ぶ!全国25万人存在する「ダブルケア」~一人ひとりが明日からできること~

          ダブルケアは、案外多い 本日は、興味のあるイベントを紹介させていただきます。 以前、介護と仕事の両立については、本の紹介をさせていただきました。 今回は、本ではなく、イベントの紹介です。 最近私のクリニックにも、子育てと親の介護を両立されている方がお越しになります。孫を育てていて、うまくできず認知症の発症に気づかれる方もいます。お孫さんが通院に付き添いをされるケースも見ることがあります。お孫さんといっても30代の方が90代のおばあちゃんを連れてこられるような形です。 こう

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        • 祝っていただいた記事
          2本
        • コーヒーライフ
          0本
        • 認知症について教えてシリーズ
          31本
        • 認知症の人への非倫理的な扱いについて
          8本
        • 認知症に関連する書評
          6本

        記事

          アルツハイマー病新薬の投与について倫理的視点とパーソン・センタード・ケアから考える

          新薬の投与についてどのように考えるか?アルツハイマー病と診断された人や家族にとって、新薬はとても希望の大きいものだと思います。一方で新聞などでは新薬には副作用があるだとか、高額であるとか様々な情報があります。それらの事実であるかどうかの判断もですが、これらの情報を踏まえたうえで、特定の人に対して投与するかどうかをどのように考えたらよいか、悩まれることもあると思います。 特に医療機関に勤めている人や包括支援センターの方は、尋ねられることもあると思いますので、尋ねられた時の支援

          アルツハイマー病新薬の投与について倫理的視点とパーソン・センタード・ケアから考える

          近未来の眼鏡Vixion01開封&インプレッション

          最近ピントが合わなくなってきた 40代後半ともなるといろいろなところに不具合が出てくる。 先日はフィットネスバイクを購入して、勢い込んで漕いでいたら背中が痛くなり、1週間寝返りを打つにもひどかった。 以前はそれほどでもなかったが、最近は食べると体重が見る見るうちに増加する。 特に仕事にも影響するようになったのは、視力だ。近いところを見るときに眼鏡をはずさないと見えなくなってきた。元上司などが、眼鏡をはずして新聞を読んでいるのを思い起こす。あの時は奇異な目で見てこめんなさ

          近未来の眼鏡Vixion01開封&インプレッション

          介護保険はサービス同士で食い合いをしているのではないか?

          介護報酬改定についての議論 令和6年度の介護報酬改定を見ていると、通所系サービスは軒並み介護報酬が上がり、逆に訪問介護で介護報酬が下がることがわかってきました。 表向きは、訪問介護の利益率が高いため、診療報酬を下げたように書かれています。 もちろん、理論的には引き下げの理由にはなるかもしれません。 でももう少し理由があるのではないかと思うようになりました。 サービス単価が上がると、受けられるサービス量が減る? 介護保険は、介護度に応じて支給限度額というものが決めら

          介護保険はサービス同士で食い合いをしているのではないか?

          終末期の痰吸引はしたほうが良いのだろうか?

          痰吸引とは、鼻腔、口腔内、気道内などにたまった痰などの分泌物を吸引する行為です。医行為とされていて、通常は医師や看護師が行います。 現在は、研修を受けた介護職や在宅患者の家族などが口腔内などの場所を限定して痰吸引を行う場合があり、よく知られた行為になってきています。 事例 痰吸引について4つの面から考えてみる。 まず、このような指示を出すときには、いくつかのことを考えなくてはなりません。今回は臨床倫理四分割法を用いて考えました。 医学的な状況 ・現状・・・唾液と思われ

          終末期の痰吸引はしたほうが良いのだろうか?

          抗コリン剤をやめると認知症の人の認知機能は上がるか?

          このレビュー「Anticholinergic deprescribing interventions for reducing risk of cognitive decline or dementia in older adults with and without prior cognitive impairment」は、高齢者における認知機能の低下や認知症のリスクを軽減するための抗コリン薬の処方削減介入の効果を評価することを目的としています。このレビューは、2023年1

          抗コリン剤をやめると認知症の人の認知機能は上がるか?

          イチョウの葉エキスは、認知症に効果があるか?

          イチョウの葉エキス 最近、サプリメントについての問い合わせをいただくことがありましたので、調べてみました。特によく聞かれるのがイチョウの葉エキスです。健康食品として多く出回っていますが、以下のような結果が書かれていました。なお私は健康食品の可否については、論じません。あくまで英語文献からの情報提供であり、特定の健康食品を推奨したり、服用を禁止したりするものではありません。予めご承知おきください。 「Cochrane Database of Systematic Revie

          イチョウの葉エキスは、認知症に効果があるか?

          運動+認知トレーニング+ビタミンDの補給を組み合わせると認知機能は改善するか(論文)

          要旨  カナダでの研究です。65~84歳の軽度認知障害を持つ高齢者175人が、運動、認知トレーニング、ビタミンDの補給の効果を調べるために、異なるグループに分けられました。 運動だけ、運動と認知トレーニング、ビタミンDの有無など、様々な組み合わせで治療が行われました。  結果として、運動を含むグループは、運動しないグループよりも認知機能が改善しました。特に、運動と認知トレーニングを組み合わせたグループでは、より大きな改善が見られました。しかし、ビタミンDを追加しても、特に改

          運動+認知トレーニング+ビタミンDの補給を組み合わせると認知機能は改善するか(論文)

          低温やけどにご注意ください

          1月も半ばに入り、ずいぶん冷え込む日も増えてきました。年末からは、火事が多く、毎週のように火事がありました。 さて、光熱費も上がってきています。節約する目的もあり、体に接触して暖を取るような家電が使われる季節でもあります。 低温やけどとは 低温やけどは、約40~50℃程度の比較的低い温度で生じます。短時間の接触では問題とならない程度の温度です。しかし長時間にわたって同じ部位に接触し続けることによって低温やけどが生じます。 電気毛布  電気毛布は、布団の上に敷いて寝られ

          認知症診療・ケアの過去と未来についての雑感

          認知症診療の変化と急増した患者数 この10年で認知症の診療は、大きく様変わりしました。一番変わったのは、高齢者人口の増加に伴い、患者さんが増えたことでしょう。現在認知症は「コモンディジーズ」といってかかりつけ医で見ていきましょうという方針が立てられました。 そして、多くの施設ができて、認知症ケアも、随分と一般的になりました。この急激さに相まって、認知症の診療もケアも随分のバラエティに富んだものになってきていると思います。 質の担保と負担増加の課題 ただ、たくさんの人が関

          認知症診療・ケアの過去と未来についての雑感

          認知症とてんかん

          高齢者でも増えるてんかんの症状とは? 乳児や幼少期には良く見かけるけいれん発作。実は高齢者でも増えることが知られています。 てんかんでも、乳児にみられるような痙攣や目を見開くようなことがあれば、わかりやすいです。しかし高齢者では、ちょっとボーっとするなどが、てんかんの症状であることもあります。 事例 脳出血が発作の原因になることもある おそらくこの出血自体は麻痺などが出ず、気が付かないほどの軽いものであったのだと思います。こういうことはたまにあります。脳出血後、しばら

          本人が望んでいないのに、レカネマブ投与のために認知症の診断をするのは難しい

          レカネマブについて、よく相談を受けています。 レカネマブを投与するためには診断は早い方が良いのでしょう?でもうちの母親(父親)は診断を受けたがらないのです。 というものです。 はたして、認知症の診断をレカネマブ投与のためにできるだけしたほうが良いのでしょうか?現時点で私が考えていることを述べさせていただきます。 早いに越したことはないが・・・ レカネマブを主語にして語る場合には、認知症の診断は早いに越したことはないということになります。適応が、軽度認知障害から早期の方だ

          本人が望んでいないのに、レカネマブ投与のために認知症の診断をするのは難しい