近所のお兄さん
近所に線の細くて、物腰柔らかいお兄さんが住んでいる。
そのお兄さんは、男性が好きだそうだ。
わたしも、わたしの家族も、全くそういうのに偏見がないし、むしろ素敵なことだねと話せる家族なので、大して気にしていないが、周りはそうでもないらしい。
庭で、家族と朝ごはんを食べていると、お兄さんと恋人さんが「窓にこれ干してもらっていい?」と会話が少し聞こえてきた。
すると、窓が開いて、目が合うと「こんにちは」と恋人さんは言ってくれた。
微笑むと、でも少しだけ気まずそうな顔をして、窓を閉めた。
なんだかそれがわたしには悲しかった。
近所の人たちが噂をしているのは知っていたし、きっと傷ついているだろうと思って、うちの家族では誰もその話に触れてこなかったし、軽く「村八分」のようになってるお兄さんや恋人さんにはあったら、優しく世間話をしたりしていた。
どうして、好きな人が同性なだけで、そんなことにならなきゃいけないんだろう。
恋人さんとお兄さんの笑い方はすごく似ている。
二人が、部屋の外に出ても、自然に笑える世界ならいいのになあ。
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