たびするシューレ

「たびするシューレ」は、大分県立美術館 館長 新見隆氏と、大分市 カモシカ書店 岩尾晋作氏が大分を巡りながら、街の人と出会い、各地の地域文化の本質に迫る学校とはちょっと違った学びの場です。 ここでは開催後の報告記・寄稿文を順次掲載していきます。

大分市は、もっともっと、面白くなる! -『放浪記』的、大分市の、現在未来的分析

[ 光と、別府湾 ]
 別府湾を眺めていると、その無類さに驚くことしきりだ。  燦々と陽のあたる、紺碧の青い空の日ばかりではない、雨しぶきの吹雪く悪天候でも、いっしゅ独特のさざ波大波が立って、美しい。この海は、じつにはっきりとした「自らの色」を持っている、不思議な海だ。
 別府湾と言うが、何も別府市の専売特許とはならない、大分市にも、むろん、接している。
 何年か前、久しぶりで、大分出の偉人、

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冬の佐伯に、「楽園ミュージアム」を夢見た夕べ ―「たびするシューレ」、佐伯編を終えて~大分県立美術館OPAM 館長 新見隆

第一部:「佐伯の町全体を、マリン・ミュージアムにしよう!」

[ 夏のサン・サーンス、田中希代子、昭和三〇年代 ]
 夏だろうが、冬だろうが、僕が、大分県立美術館の館長室で、聴いているのは、サン・サーンスのピアノ協奏曲と決まっていて、しかも演奏は、見事な思い切りで、「弾いて、弾いて、弾きまくる」、それでも「構成感が、寸分も揺るがない」、不世出のピアニスト、田中希代子さんのものだ。
 彼女は、もう亡

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たびするシューレ 第1回 竹田へのたび ~カモシカ書店 岩尾 晋作

1.日本一のゲストハウスでエクスタシー
隠れキリシタンの礼拝堂があり、滝廉太郎が「荒城の月」の霊感を受けた岡城を有し、現代も石畳や武家屋敷を残す幽玄とますらおぶりの城下町、竹田。古都の趣に加え、近年は現代的なセンスで最新の図書館やアートレジデンスを作り、県内で明らかに異彩を放っている革命の町だ。
僕の暮らす大分市内から竹田のセントラルシティまでは車で1時間。 たびするシューレの初開催を目前にして、

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シューベルトの連弾 -竹田での、「旅のシューレ」を終えて~大分県立美術館OPAM 館長 新見隆

[ シューベルティアーデ ]  
こうして、東京郊外のサナトリウムの森の一角に、久しぶりに戻って、女房と娘の顔を久しぶりに見ながら、お互い、子供の頃に返ったような、懐かしさ温かさを感じて、ソファに寝転がって、シューベルトのピアノを聴く。
 井上直幸と竹内啓子による、あまり知られていない、連弾曲だ。
 若い頃から、彼のドビュッシーを愛聴した井上直幸だが、帰らぬ人となった。
 シューベルトの連弾は、も

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山羊とマリア様 臼杵シューレ報告記 カモシカ書店 岩尾晋作

今回のシューレはまず、会場のgallerySARAYAMAの素晴らしさが強い印象を残している。洗練された広い空間、オーナーの宇佐美夫妻のセンスと人柄、また臼杵大仏のすぐ近くという立地の利便性、歴史性。今後、このまちで必要とされるあらゆるムーブメントに対して、gallerySARAYAMAは創造的・拡張的・互換的に対応できるだろう。
間違いなく、臼杵の新しい世代が始まっているのだと確信するに余りある

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たびするシューレ 大分市 報告記 カモシカ書店 岩尾晋作

大分市は僕が生まれたところだ。ここで18年過ごし、東京で12年学んで遊び、再び大分市で暮らし始めて5年が経とうとしている。
大分市で暮らしながら、どこかに引っ越そうとは全く思わないし、僕はこの街が好きだ。
何より距離感がいい。市役所・県庁・税務署・警察署・保健所・法務局。全てが徒歩で済む、非常に手続きのしやすい街で、そういった意味ではまさに商人の街と言えるだろう。別に商人の街だから好きということで

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