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【 読書レビュー 】グレイラットの殺人

グレイラットの殺人 M・W・クレイヴン著/東野さやか訳


貸金庫を襲った強盗団が、身元不明の遺体と鼠の置物を残して姿を消した。3年後、サミット開催が迫るなか要人を搬送するヘリコプター会社の社長が殺される。テロを警戒した政府はポーに事件の捜査を命じるが、M15の妨害で捜査は遅々として進まない。天才分析官ティリーが発見したデータのおかげで犯人を追いつめたかに見えたが……。二転三転する状況でポーが辿り着いた真実とは。驚愕のシリーズ第4作。

ハヤカワ・ミステリ文庫の裏表紙より

シリーズで一番ぶ厚い4作目。文庫本にして700ページにも及ぶ大作だが、センテンスは短くテンポも良いし、ミステリなので先が気になるからページをめくる手を止めるのが辛い…。でも寝なきゃ…。
と、葛藤する数日間でした。
読書に浸る幸せですね。

今作ではイギリスの軍隊のことが書かれている。中東での戦争に派遣され、他国の軍人達がどのように関わっていたのか、著者のクレイヴンさんは軍隊にいた経歴があるので、とても詳しく描かれている。
冒頭の殺人劇、サミット開催が迫る中のテロ疑惑などなど、複数の要素が次々と現れるのだが、それほど混乱もせずに読ませるのはさすがクレイヴンです。
キャラクターの書き分けもしっかりしているし、常連キャラも魅力的なので、連続ドラマで観たくもなります。2時間程度の映画じゃきっと無理💦

ポーはティリーにこう指摘される。

「タブレットをここから出しちゃだめなのには、ちゃんと理由があるんだよ、ポー。それに、誰かにやっちゃだめって言われたというだけの理由で、ポーは時々ルールを破るじゃない」

そんなポーの歪んだ(?)性格を、まんまと利用して…。
一枚も二枚も上手な人がおりました😅

事件が解決し、ハードウィック・クロフトも手放さなくてすむことになり、ポーの個人的な事件の手掛かりもまたひとつ手に入りそうだし、やれやれだ…。
エドガー(愛犬)と散歩に行こうと思った矢先に電話が鳴り、ステファニー・フリン警部(上司)がいよいよ復帰して、ポーをまた日常の「事件」の世界に引き戻すのだ。


HM481-4 2023年9月 初版
ハヤカワ・ミステリ文庫



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