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ガンジャ先生。8-5 - fin -

旅の在り処

空港までの道のりは。
シンハーの看板や。
山のない地平線を進むように伸びている。
昼に初めて見た空港は巨大だった。
Ed Sheeran - I See Fire Kygo Remix

「16:20発だからチェックインはまだ時間あるか。小銭あれば好きなの買っていい。そこで連絡やら仕事をしておく」「「はい」」


こんな空港だったんだ。昼と夜では印象が違う。
とりあえず道具を預けて。やっぱり欧米人多いやと改めて感じる。

みんなは近くのカフェに座ってゆっくりと。
「これから帰るのか〜」
「うう。。楽しかったよぅ」
「プンちゃん。ムーちゃん。。どっちもいいな♪」
「夢みたいだったね〜」
「未亜ちゃんは。。あ、いたいた」
「みんな、聞いてくれる?」
「どったの匠?バーツあんまり残ってないよ?」

「学校。みんなで行かないか?」

そこから話す事は対したことではない。
どこかでずっと思っていたのと。どこかでこのままじゃダメだって。
旅でいろいろ人に会えた事。助けて貰った事。タイの人はみんな何かしら働いていた。
知らない事も多すぎた。語学も習慣も。
できるなら何かガンジャ先生にお礼したいんだと。

だからまず。学校に行こう。

「俺いいぜ。確かに勉強嫌いだけど。言いたい事は分かる」
「・・茜が行くなら。いいけど」
「もちろんいいよ。歩ちゃん一緒に行こっか?」
「。。私は匠くんについて行く。心配だし!」
「うん。先生にまた会えるなら未亜も行く!」
「そっか。じゃあみんなで一緒に行こう。明日は休みなんで。明後日正門で待ち合わせて行こうか」
そんな感じで僕達の悪巧みは続いていく。

フライト近くになりチェックインをする。
パスポートにハンコを押してもらい。ああ鳥の神様だ。ここは神に愛された国だったんだなと。
高い天井を見つめる。

「匠くん。行くよ?」
「うん。ユッキー待って。」
「匠くん。日本に帰ったらなにしたい?」
「ユッキーと子づくりかな?」
「・・殴っていいよね?ふんっ!」
結構本気だったが。。見事なボディだ。。ぐふっ。

そうして僕達はタイを後にした。

□□□

乗換もなく。タイ国際空港だったので快適に帰れた。来るときに比べたら嘘みたいだ。

ついたのは。。10時羽田着。あれ?あ時差か。。

あっという間に日本についた。
実感がわかないけど出口コンソールで両親達が迎えに来てくれていた。
「お母さん!」
茜と歩が走っていく。

「お父さん。。お母さんも。。」
雪菜がこっちを見て。振り返り走っていく。

「お母さん。。ウグッ」
未亜が泣いて走っていく。

タツヤは誰も来ていないと思ったが、
「オヤジ!アイテ!もー。。」
父親が来てくれてたみたいだ。すでに怒られて。

僕は。。母さんいないな。。うるうる。
山本先生が肩を抱く。
「ん?匠どした。遅れてくるってさ。待つか」
すごく安心した。

みんな手を降って帰っていく。
「じゃーね匠♪楽しかったよ」
「ありがとう匠君。いろいろ。。胸は忘れて!」
「匠くん。またね。電話するね♪」
「たくみーありがとなー♪シャツもらうわ♪」
「・・ありがと。たくみー兄ちゃん。人形ひとつだけあげる」
兄ちゃんはやめろ。そして呪いの人形。。


10分程して。母さんが迎えきた。
「おかえり。匠。まあ立派に日に焼けて。。山本先生。ありがとうございます。道具も何も持たず。。ご迷惑おかけばかりで。。すみませんでした」
「いえいえ予定が変更になりご連絡が遅れました」


「母さん。ただいま。楽しかったよ」
僕は笑顔で笑いかけた。

母さんはそれを見て。

泣き崩れれて。。僕を抱いた。

「た、匠。。ごめんね。本当に。。ありがとう」
「母さん心配かけてごめんね。もう大丈夫。」
話したい事が山程あるんだ。ただ、ここではまた泣き崩れるから。家でゆっくり話そうね。母さん。

親子二人がお礼を言いながら帰って行く。
それを見ながら。山本は岩屋の事を思う。


「岩屋。どんな魔法をかけたんだ?」

タクシーで帰る東京は光輝いていた。
バンコクの比にならないくらいの電灯。揺れない道。キレイな歩道。傷のない車。

でもそこには神様はみていなかった。


□□□

久しぶりに制服をきて。
正門に向かう。時刻は8時前。

まだ速いのか人通りもまばらだ。
正門の横に紙が貼ってあった。


以下のもの。本日をもって2年A組に移動する。
2年C組 佐々木 未亜
2年D組 川上 歩
2年D組 須藤 達也

2年学級主任 山本 雅史


「あ、匠!きた」
「おせーぞたくみー」
「ムー同じクラスになったのかー」
「あれ?茜ってA組だったけ?」
「どうなってんの?みんな同じクラス?山本先生の仕業かな?」
遅れて雪菜も登場。
「匠くん。またよろしくね♪」
ああ。。やっぱ制服姿の雪菜はかわいい♪

「いでっw」
「ほらほら匠ー教室行くぞ♪案内せい♪」
足クセ悪いなー。。歩。。なんか嬉しそうだし。



パンガン島の一コマ。
「先生〜♪匠1番だったよね?なんでもいいの♪」
「ああ。。できる事ならやるわ。何?おっぱい見せようか?けつくらいまでなら。。」
「うふふ。。じゃあ!茜と同じクラスにして!」
「・・・そんなんでいいのか?」
「そんなんでいい♪」

うふふ♪先生約束守ってくれたんだ。ありがと♪



「てか、タツヤ。。ボウズってププ。。。」
「お坊さんになるの?」
「今更甲子園か。。ウケるw」
「うるさい。。髪色とか親父とか。。いろいろあんだよぅ!てか歩もお腹ポヨポヨじゃん!」
「う。。旅行で2キロ太ったのは。。タイ料理が美味し過ぎたからだもん!」
・・6人揃えば怖いもんないな。


久しぶりの教室は。席がどこだかわかんない(笑)
だけど後ろに6つ机があった。
それぞれに名前が貼ってあり。
・・どこまで準備周到なんだろうか。

クラスのみんなは知った顔もあるけど、ザワついていた。
そりゃそうだ。2年で出るの初めてだもの。増えてるし。歩とタツヤは関係なしにハゲだデブだと言ってる。。自由だな。おい。


山本先生が入ってきてクラスが静まる。
「それではHRを始める。出席を」
淡々となにをいう訳でもなく普通にすすめていく。
僕らの名前は最後に呼ばれる。

「甲斐」「はい」「須藤」「はい」「大渡」「はい」「佐々木」「はい」「川上 あゆむ」「はい」「川上 茜」「はい」

「以上6名。みんなよろしく頼む。」
ざわざわ。。。

「では机の上を片付けるように」
あれ?授業は。。

「予定通り期末テスト3日目を行う。赤点は夏休み補習だ。ではテストを配る」
・・・そんなぁ。。。ああそんな時期だ。。
バンコクに行っている間にもう夏休み前だ。

左右を見ると。ハゲもデブもちびっこも固まっている。雪菜も。顔引きつって。。やられた。

ああ補習決定だ。夏休み返せ!


その後めでたくみんな補習の嵐で。
雪菜はそれでも2教科はクリア。ただ付き合って補習にきてくれた。教えるの上手だし助かる。

未亜はしばらく山本先生の家に住むみたいだ。
再婚した父親は、家宅捜査で捕まり有罪確定。執行猶予中は預かるらしい。
松木はすでに捕まって学校をクビになっていた。
調べれば被害は多く淫行、未成年暴行罪など多種にわたる。この学校始まって以来の大事件だったらしい。

 僕らはそのまんまクラスに馴染んでいった。補習組にはウケがいい。意外だったのは茜がしっかりして。歩同様に男子内でかわいいと人気上昇中だ。
雪菜は委員長の仕事を断って。たまに僕と放課後デートしている。
タツヤも少し揉める事があったみたいだが。無事毎日通ってる。相変わらず仲がいいけどうざい。

8月になった後。

バンコクから宅配でみんなにマンゴーが届いた。
少し酸っぱいけど懐かしい味。
旅行の時の写真が僕にだけ送られた。
補習の後にみんなに見せて懐かしい。結構いろいろ写されてくれてた。
あ、ダイビングの時もあるんだ。ケイさんや西田さん、田辺さんも。みんな懐かしいな。
 最後の写真にはサービスアパートメントの前で、プイさんとおっちゃん、洗濯のおばちゃん、そして元気そうなガンジャ先生が写っていた。

”酒飲めん!日本も夏か?こっちはクソ暑いぞ♪”
みんなにやにやしてる。未亜が嬉しそう。
バンコクの姿はみんなを安心させた。


こっちはこっちで毎日学校通いだ。
日本に帰るとこんな忙しいとは思ってなかった。
この国でも夏は暑く。もちろんセミも鳴く。

ただあの日差しとは違うし。毎日追われていく。
でもみんながいるし。雪菜もいる。


疲れたら楽園に行けばいい。
鳥の神様が住む街は。
相変わらず騒々しく祭りをしてるはず。


旅は自分探しの旅と言う。でも僕はちょっと違う。
旅はいいもんだ。
旅は。不思議だ。
旅で。友人ができた。
おっぱいが見れた。キスができた。
恋人ができた。父親が。できた。

自分が見つかった。

旅の在り処は人それぞれ。
ただ。僕は得るものが多かった。
逆に足りないものも多かった。それを今学んでいく。気付く為の旅だったと思う。


すぐに月日は流れみんな3年生になった。
6人は席は変わるが相変わらず同じクラス。
でもまぁ。それなりに他のクラスメイトとも馴染んできた。もちろんみんな登校している。

昼休憩。ふと隣の女の子達が聞いてくる。

「ねえねえ?匠くん。バンコク行ってたんだって?詳しく聞かせてよ?」
「私達もタイに旅行に行こうと思うんだけど。良いとことかないかな?」


「満月の時。朝まで踊る島って知っている?・・」

僕は僕で。
フルムーンパーティーの信仰を続けよう。
あの場所と味わう時間は。一生忘れられない。
ただ夕日を見た場所は。僕達だけの秘密にしたい。

ありがとうガンジャ先生。
来年の春には行くので生きていてよ。

春とはいえいい天気だ。最近は温度が高い。

久しぶりに南の海に潜りたくなった。

雪菜に泳ぎでも習おうか。

「匠くん?ボーッとしてどうかした?」

「ふたりで父さんの墓参り行こうか。雪菜を紹介して。それから久しぶりに夕日を見に行こう。」

「うん!」

新しい都市伝説。

フルムーンパーティーで花火の時キスをしたら。

その二人は結ばれる。なんてネ♪


〜ガンジャ先生。完〜

ご愛読ありがとう御座いました!\(^o^)/

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