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社会人大学院生、始めました!~4月の学習状況

明後日は、社会人大学院生になって初めての論文個別指導です。また2時間以上かけて幕張まで行かないといけません(笑)

いままで生きてて触れてきたことを総決算ということで、マーケ×政治×デジタル×ジャーナリズムでなにかやりたいと思っているのですが……。

今日中に研究計画と論文目次案を出さないといけないのですが、どんな問題関心をもっていて、いまなにを読んでいるのかをまとめておきます。アドバイスや面白い事例を知っている方、教えて下さい。何卒よろしくお願い申し上げます!!

■関心のあるキーワード
選挙のデジタル化、政治のマーケティング化、政党システム、政党と議員の結びつき、有権者と政党の結びつき、政党の凝集性、コンセンサス型or多数決型、議題設定機能、政策過程、政権交代

■先行研究と問題関心

◎テーマにつながる問題関心
・清原・前嶋編(2013)、西田(2018)において、選挙のマーケティング化、政治のマーケティング化、そして選挙のアメリカ化が指摘されている。

・日本比較政治学会編(2015)は、「2000年代に入ると、SNSを通じたネットワークなど新しいかたちの組織が生まれるようになり、政治的な力としても働くようになるが、非恒常的、一過性的で、構成員が共通の社会的属性やアイデンティティを持たない新しい組織は、20世紀型の大衆組織とは性格を異にする(p.15)」と指摘
⇒現代の「大衆」とは?というのを知りたい。マーケでも「マスは存在しない」と言われるようになったけれど、選挙ではどうアプローチしている?

・日本比較政治学会編(2015)は、「これらに代わって政党が有権者の獲得のために力を入れているのは、有権者をクラスターに分けて「市場調査」をした上で、支持の蓋然性のあるクラスターを狙って個別的な目立つ政策を選挙綱領に並べる戦略や、自党の政治家のカリスマ的リーダーシップをアピールする戦略である。このように政党は新しい方法で有権者の支持獲得に取り組まざるを得なくなっている(p.15)」と述べている。
⇒選挙のデジタル化にともない生まれた「新しい方法」について事例研究?もしくは有権者とのコミュニケーションの中で、政策の議論がどのように行われているのかどうかを検証する?政党アカウント、議員アカウントの内容を分析するとわかる?

・加藤・岩渕編(2009)は、「インターネットの登場によってメディア環境も大きく変化している。ただし、このような多メディア化が個々のケーススタディを豊富なものにしている反面、クラッパーの(マス・コミュニケーション効果の)一般化のような統合的な研究がまとまりずらい状況にある(p.154)」と指摘。

・清原・前嶋編(2013)において、前嶋は日本について、「従来は、農協や連合など伝統的な利益団体が中間組織として機能し、日本型のコーポラティズムを担ってきました。しかし『ネット選挙』の解禁により、必ずしも特定の利益によって結合・組織化されていない人々が結びつき始めています」と発言している(p.172)。
⇒デジタルが政策過程に影響を与えた事例があれば調べる(保育園落ちた問題は有名だが、選挙がらみではない?)

◎事例につながる問題関心

・ウェストミンスターモデルの典型とされるイギリスで、二大政党制に揺らぎが生じている。近藤(2017)によると、これまで民主主義のモデルとして位置づけられてきたイギリスの議会制民主主義は、レイプハルト(2014)のいう「多数決型」としての性格を有する複数の制度的パーツから形作られてきた。その制度的パーツとは、議会主権、小選挙区制、二大政党制、一体性のある政党組織、執政(内閣)優位の執政―議会関係、中央集権的な単一国家などである。しかし、近藤(2017)は各パーツをブロック遊びに例え、各パーツの変形の方向性がバラバラになってしまっている(「コンセンサス型」に向かうものもあれば、「多数決型」に向かうものもある)ことを指摘した。
⇒メディア環境の変化、政治のマーケティング化も、パーツの形状変化になんらかの影響を与えているのではないか?

・西田(2013)では日本のネット選挙解禁について、まずネットの思想設計について「創意工夫を持ち寄り、完成度が十分でなくともプロトタイプをまずは公開し、問題が生じる都度、試行錯誤を経て修正する「漸進的改良主義」というべき考え方(p.49)」であると紹介し、日本の「現状の公職選挙法にせよ、その他の法律全般にせよ、この設計思想のもとで作られているとはいえない(p.61)。と指摘し、「機会の均等に支えられた「自由(free)」を重視する英米圏に対し、結果の均等と許認可を重視する日本の法制度の特徴(p.61)」と主張。
⇒ベースとなっている制度・環境によって、デジタル化の与える影響は異なる。英米/日英を比較してみたいが、資料も能力も不足?

■参考文献
加藤秀治郎・岩渕美克編(2009)『政治社会学<第4版>』、一藝社。
清原聖子・ 前嶋和弘編(2013)『ネット選挙が変える政治と社会― 日米韓に見る新たな「公共圏」の姿』、慶應義塾 大学出版会。
近藤康史(2017)『分解するイギリス : 民主主義モデルの漂流』、ちくま新書。
西田亮介(2018)『情報武装する政治』、角川書店。
西田亮介(2013)『ネット選挙解禁がもたらす日本社会の変容』、東洋経済新報社。
日本比較政治学会編(2015)『政党政治とデモクラシーの現在』日本比較政治学会年報17号、ミネルヴァ書房。
Lijphart, A.(2012)Patterns of Democracy: Government Forms and Performance in
Thirty-six Countries. London:Yale University Press, 2nd ed.(レイプハルト(粕谷祐子訳)(2014)『民主主義対民主主義――多数決型とコンセンサス型の36カ国比較研究』勁草書房 原著第2版)

■これからやること
・事例探し(情報が手に入る、自分で分析できるもの ~9月末までに固める)
・問いをよりクリアにする
・読書リストの文献を増やす(~2020年)、いまあるものを読む(~9月末)

道のりはまだまだ長いです……。まずはよい事例を探さないと。引き続きがんばります。


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