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地方移住と町づくりの豊かさ、尊さ

先日の記事では、僕が関東の都市部から福井市越前海岸エリアという過疎地に移住してきた経緯を少し書きましたが、本日はその背景や理由をもう少し掘り下げてお話します。
本記事をお読みになる方には、地方移住がどういうことなのか、少しでも感触を掴んでいただけたら幸いです。

地方移住について

noteでも、少し検索してみると、コロナ禍をきっかけにテレワークが流行り、地方移住を考え始めた人向けに色々と記事が出ておりました。
ですが僕達家族の場合、妻が地域おこし協力隊に就任したこともあり、地域課題を解決するのがミッションとなり、移住の意義がだいぶ違うようです。
地方移住と一口に言っても、様々な程度があります。簡単に言えば、どれだけの「田舎」かによる、ということです。車で5分走れば、スーパーや最寄り駅などにたどり着ける位の田舎もあるでしょうし、そういう場所は、コミュニティも結構ドライで、近所付き合いの煩わしさはさほどでも無いのかも知れません。
僕の住む環境は、最寄りのスーパーまで40分、コンビニまで15分、生活圏に信号機は1機のみと、かなりの僻地であり、コミュニティはハッキリ言ってかなり閉鎖的です。テレワークをしたいからと言って、おいそれと簡単に移住できる場所ではないのは確かです。
とは言え、僕の場合はそれに当てはまるのですが、妻の仕事上のミッションが地域課題の解決だったことが、地域のコミュニティに溶け込む良いきっかけとなりました。
地方移住のポイントは、何と言っても、自分の居心地よいコミュニティに、どのように接触していくか、ということだと言い切れるかと思います。
田舎の生活は、農家さんからお野菜を頂いたり、漁師さんにお魚をお裾分けしてもらうのが、醍醐味の一つですから、コミュニティに関わらずに地方移住するというのは、あまりメリットが無いように思えます。
僕の場合の暮らしの醍醐味は、薪ストーブですから、薪集めをするにも情報収集し、信頼を得て薪を頂くという行為は、地域のコミュニティと密接に関わらなくては為すことができません。
ちなみに、夏の短い期間にサザエ採りをするのですが、これにも漁業権が必要です。これには地元の漁師さん達からまず信頼を得ることが絶対条件です。漁師さん達は、縄張り意識が強いので、これもハッキリ言って排他的です。海は憲法上、日本国民全員に恩恵を与えるべきものですが、都会の感覚で実情を理解しようとすると、間違いなく行き違いが生じます。

越前海岸盛り上げ隊

僕の妻は、地域おこし協力隊として、「越前海岸盛り上げ隊」という組織と関わりながら活動することになりました。ちょっと名前を混同し易いので、以後注意して読んでください。
越前海岸盛り上げ隊は、観光事業者の緩やかな繋がりを母体とした任意団体で、元々は観光産業が潤うための事業を進めてきましたが、ここ数年は、移住者の誘致など、町づくり系と呼ばれる事業にも大いに関わっています。
僕達夫婦はまず、これ程の過疎地にも関わらず、彼らの前向きな意識の持ち方に、共感することが多くありました。過疎という局面に立たされているだけに、会議の真剣さと正当性が、正しく先進的だと感じました。
越前海岸盛り上げ隊の構成は、既にUターンやIターンの移住者を主に結成されているため、閉鎖感や排他的意識はほとんどなく、むしろいかに観光客や移住者を呼び込むかというミッションに対するアイディアマンが揃っているのです。
地域おこし協力隊あるあるだそうですが、こういった協力隊員の受け入れ母体の熱量が一定量無ければ、協力隊事業は失敗するケースが多いそうです。
当然、僕達も隊に加盟し、越前海岸盛り上げ隊では、これまで観光マップの出版、web制作(これには僕も中心的に関わりました)、体験事業の創出、教育旅行の受け入れ、クラウドファンディングを通じた活動拠点のリノベーション、その拠点を活用したアート事業など、様々な事業を行ってきました。
それぞれの事業は成功と言えるものもあれば、失敗と言えるものもあるし、月に一度の定例会の度に研鑽を重ね、より良いものにしようと活動しています。そうした活動や交流そのものが、僕達にとっては日々の暮らしの充実に繋がり、田舎の生活を退屈無く、飽きないものにさせています。
先ほど、会議に対し「正当性」という言葉を使いましたが、僕達はSDGsとかが話題になる以前から、地域に根付いた循環型の暮らしや事業経営を実践していました。今更そんな新しい言葉で定義をしなくても、と、違和感さえ覚えます。
利便性や経済性だけでは、到底、田舎暮らしの豊かさや尊さを図ることはできません。

地方の衰退は、間違いなく安全で健全な国力の衰退であり、本来、過疎とは、人口を吸収して肥大し続ける都市の問題なのです。
一人でも多くの人がそのことに気付き、この福井市越前海岸エリアのような過疎地へ移住して、一緒に楽しく活動してもらうことを、僕達は願って活動を続けています。

参考: 福井市越前海岸盛り上げ隊


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