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読書27 『乱反射』

   貫井徳郎著

・加山は新聞記者。二歳の男の子がいる。
・田丸ハナは、ひとに親切にして「田丸さんの奥さんはいいひと」と言われることを生き甲斐にしていた。友人の昌子や昌子の隣人の和代を、見下している。
・阿部昌子はハナの友人。おっとりタイプ。
・佐藤和代は昌子の隣人。セレブのハナを嫉み、粗探しをしては小馬鹿にしている。ハナが昌子の家に来ている時に顔を出して、ハナを挑発しては反応を楽しんでいる。
・加山聡は定年退職をして家にいる。家庭を顧みなかったため家族から疎まれている。虚しさを少しでも埋めるために犬を飼うことにした。犬の散歩は楽しみのひとつだが、腰が痛むためにフンを拾うことが出来ず、決まった街路樹の下にいつも寄せて帰っていた。
・久米川治昭はアルバイトで医師をしている。三つの病院を掛け持ちしている。
・安西寛は大学生。小さい頃から体が弱く、すぐに風邪をひく。今は、具合が悪くなると夜間救急にいく。処方してもらう薬を飲めば治るので、混む昼間の病院には行きたくない。
・榎田克子は両親と妹の四人で暮らしている。母と妹は車の運転をしないので、何かと克子が頼まれて車を出すことが多い。軽に乗っているが、妹の強い要望でSUVに買い換えた。

 道路の幅を拡げる計画が進み、街路樹を撤去することになりました。一本の木の下には犬のフンがあります。木の点検をしていた職員が、気づいて他の職員に伝えたところ「お前がなんとかしろ」と言われます。コンビニで割り箸を買い、袋に入れますが、ゴミ箱に捨ててはいけないと言われ、仕方がないので持ち帰りました。次に行った時も同じ場所にフンがありましたが、今度は黙っていました。

 ほんのささいな非常識の積み重ねが、加山の二歳の子どもの命を奪ってしまいます。

 いけないことはわかっているのですが「一回だけ」「これくらいなら」「誰でもやっていることだから」と言い訳しながらやったこと。あるいは、単なる自己満足のためにやったこと。勘違いの正義。あるいは、ことなかれ主義で見ようとしなかったこと。それらが連鎖した先に、不幸な出来事へとつながります。

 加山は、息子が亡くなった原因が知りたいと思いました。しかし、誰もが自分を守ることしか考えていないのです。言い訳、なすりつけ、気づいていないひとさえいます。全ての責任を真摯に感じているひとがいるのですが、みんなそのひとが悪いのだから、自分には関係ないと考えているのです。

 身の回りに起こりそうなことで、気をつけたいと思いました🥲
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