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「僕は神谷さんの優しい声に弱い」

■感想文『火花』/著者・又吉直樹さん


本書の内容、というよりも、又吉さんの内省する力と、的確な言葉を使える力の素晴らしさに、ずっと「すごいなあ」と感じながら読んでいました。

本書は、若手芸人の徳永と、その先輩芸人である神谷が繰り広げる、芸人論と人生観を、徳永の視点で、描かれた文学作品です。太宰治さんの愛読者?愛好家?としても、大変有名な芸人さんですが、言葉の的確さはあきらかに凡人の域を超えています。オチのアイデアにも脱帽。文學界に掲載されるだけの筆力は、さすがです。テレビ番組のインタビューで「いつか、もっと笑える小説を書きたい」そんなことを話していましたが、それはぜひ読みたいと思えます。

芥川賞をはじめとする、王道の文学作品はやや苦手な私ですが、本書は十分に楽しめました。正直、なんども笑いました。つまり、読んで良かった。ということです。ただし、読書習慣のない人は、おそらく読むのが、すこし大変なのではないかと思います。

本を普段読まない人でも伝わるように書きたかった

というようなことも、又吉さんは話していましたが、本書の奥深さのような味わいをそうした人たちが十分に得られるかは、正直、疑問です。150ページ前後の一冊なので、速い人なら一時間強で読めてしまうボリュームかもしれません。しかし、これを三ヶ月で書き上げたという、又吉さんの筆力にもまた、その才能の片鱗を感じます。

文庫になっているので、読書好きの人には十分オススメできますが、読書習慣のない人へは、立ち読みを強くすすめます。

あとは、芸人の又吉さんを好きな人や、又吉さんの発言などが好きな人にも、又吉さんの深い部分に触れることができると思うので、購入をオススメできます。

今後はもっと笑える本、心待ちにしています!又吉さん、素敵な一冊を、ありがとうございました。期待しています。


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