どんな子どもにも『未来』はある

児童精神科外来には、たくさんの「障害」を持った、あるいは生活や勉強に困っている子どもと親が来ます。

障害告知は烙印なのか

残念ながら未だにたくさんの保護者の方や教員の先生方が、障害=もうダメだ、みたいな感覚をお持ちです。少ないですが、外来で障害名を確認した時に泣き崩れるお母さんもいます。
残念な気持ちはもちろん分かるのですが、その後もずっと「いやこの子障害あるんで」と、いろいろを諦めてしまうこともあります。
学校でも同様なのですが、先生が「あの子自閉なんで無理ですよ」みたいになることもあります(幸いにしてうちの学校にはいなさそうですが)。

どんな子どもにも未来はある

僕は基本的に未来のことを考えたいので、外来でも先の話をします。この子は何が好きでどうなりたいか、学校の選択肢はどんなものがあるか、青年期は、中年期は、その時の家族の状況はどうか。
もちろん「どうやってこの実現不可能な夢を諦めていくか(例えば中等度の知的障害のある子が鉄道会社で乗務員をやりたい、など)」という不本意な内容のこともあります。しかし、その際にも「どうやって諦めるプロセスを見守っていくか」「仕事ではなく趣味で楽しめないか」「代わりにどんなことに興味を持ちそうか」など、可能性の広がる話をしたいと思っています。

児相でのやりとり

何度か書いたように、
https://note.mu/takamiki/n/nc29401471506
児相では、手帳の判定などもしています。
先日、児相で手帳判定の面談をした時のことです。
小学校高学年の男子で中等度の手帳の更新で、検査結果も生活の様子も同じ度数での更新で全く差し支えないものだったケースがありました。
こういうケースでは手短に面談を切り上げるか、その他の相談に乗るかのどちらかのパターンか多く、この時は後者でした。

僕がその子の学校選択、将来どうしたいか、どんな暮らしを想像しているのか等をお母さんに聞いたり話したりする中でのこと。
そのお母さんが
『この子にも未来があるんだなって思いました。こんな話をしたのは初めてです』
とこぼしました。
医療や福祉などたくさんのリソースに繋がっているのに、あんまり先のことを考えたことがなかったとのことでした。

未来はある!

障害があると、未来が灰色になってしまうような気持ちになるのはもっともです。でも、そんな中にもワクワクすることや希望があるんだよ、ということが少しでも伝わればいいなと思っています。

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