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読書感想文:武士道とエロス/氏家幹人

講談社現代新書で、「男同士の恋の道、衆道は”武士道の華”。(以下略)」という説明がついている。
要するに小姓さんとか、そういう話だ。

江戸時代の性風俗をちょっと調べる一環で買った本だが思いのほか面白かった。
性風俗は男色一辺倒ではないから(というか、そうだったら日本が滅びてる)、これだけをもって江戸の性風俗すべてを知ることはもちろん出来ないが、今では忠義譚に置き換えられている様々な説話にどういう背景があったか、確かに納得できる部分も多い。
非常に納得したのは織田信長と猿の、草履の話だった。

それが、江戸時代に入って衰亡していく様は、戦国から江戸初期にかけての職業的戦闘集団から、組織の中で横のつながりを分断され、いわゆる官僚制度、役人に変化していく様を如実に表していて確かに興味深い。

社会として、何が彼ら(職業としての武士)に要求され、何を取捨選択したか。
明治期に入って男色が再度流行したのは何故か、薩摩の風俗、年長者が年少者の面倒を見る「制度」、性を取り扱うのは誤解を招くことも多い作業だが、面白く読んだ。

(2008/8 江戸の性風俗をなぜ調べていたんだろうかと思うが、性風俗というより、死生観、出生、水子、七つまでは神のうちという言葉の内情、そういうものを調べたかったんではなかったろうか。確実な避妊手段もなく、江戸では産み捨てられて死ぬ子供らもごく普通だったとも読んだ。平均寿命も短く、死ははるかに身近だったろう)






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