コロナ禍での普通の人の健康維持を考える 〜新しい運動習慣を身につける3つの戦略〜

ビバ・ニューノーマル

 在宅勤務を始めて、7ヶ月が経過した。通勤時間ゼロで自宅の机で仕事ができることがこんなに快適だとは…!と、毎日その喜びを噛み締めている。出勤のちょっと前に起床して、コーヒーを入れながら仕事が開始できるなんて、最高じゃないか。自炊も捗るし、家から一歩も出ないで生活が成り立つことに感動した。

誰かに会うたび言われる「痩せた?」

 けれども、知らず知らずのうちに自分は消耗していたのだと気づく…緊急事態宣言が解除されて、ちょっとずつ人に会えるようになったが、皆一様に「痩せた?」と言ってくる。BMIがあとちょっとで標準以下になる私には全然嬉しくない褒め言葉である。実際、体重は 2kg ほど落ちていた。サッカーで鍛えた太ももも頼りなくなってきた感じがする。ズボンのウエストもゆるい。
 どう考えても、体を動かさない事による不健康だった。家から出なく(= 歩くことすらしなく)なっているのだから、まぁ当然といえば当然の結果なのだが。
 一番やっかいだったのは、今までと同じやり方で運動することが難しくなったことだ。通勤しているころは、一駅先まで歩くとか、エレベーターのかわりに階段を使うとか、気軽な運動ができていた。しかし、在宅で机に張り付くのが当たり前になってしまうと、そもそも身体を動かすきっかけがない。だから、自分の中で明確に運動をすると決めて時間をとる必要があったのだが、忙しかったり面倒だったりでいかんせんサボりがちになる。あなたもこの記事を読んでいるということは、同じような課題を感じているのではないだろうか?

運動習慣を身につける3つの戦略

 そこでこの半年は、とにかく「運動する習慣を作る」というのに意識的に取り組んでみた。痩せた体をもとに戻したかったので、最終的には「週に数回の筋トレ」を習慣化することを目指した。色々試したが、ある程度うまくいく方法が見えてきたので、今回は振り返りを兼ねて、どのような戦略で取り組んだかをまとめたい。少しでも参考になれば幸いである。

1. 継続することを目的にする

 実は、筋トレには今まで何度かトライしたことがある。が、いずれも成果が出る前にやめてしまっていた。その理由の一つに、でかい負荷で長時間やることしか考えていなかった、ということがある。結果、時間の確保ができなかったり、疲れを感じたりするとサボってしまったりしていた。

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 そこで、まずは「継続すること」だけを目的にして、トレーニングをやってみた。トレーニングと言っても2分でできるメニューを1日1回以上やるだけである。ほとんど負荷になっていない。これを1ヶ月ほど続けた。
 すると、だんだん運動しない方が不自然な感じになり、意識しなくても取り組めるようになる。このタイミングで負荷を増やしていった。ダンベルを使ったりして、徐々に筋トレらしい筋トレを取り入れていくのである。習慣化した後に負荷を上げることで、やめにくくするのだ。

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 実はこれは、パーソナルトレーナーの方に教えてもらった方法をベースにしている。筋トレ初心者は、まずは運動習慣をつけることから始めなさい、と。2分でできるメニューなら、いつでもどこでもできるだろう。
 トレーニングに対する心理的ハードルが高い人は、まずそのハードルを下げることから始める。時間はかかるが効果的な方法だと思う。

2. インセンティブをうまく設計する


 筋トレを始めた頃に、せっかくだからとタニタの体組成計を導入した。自分の筋肉の状態をトラッキングしたいと思ったからだ。タニタの体組成計が優れているのは、筋肉の質(筋質点)も計測してくれ、単純な筋肉の大きさ以上の情報が得られることだ。さらに嬉しいことに、この筋質点は筋肉量よりも早く改善され、数値が上がりやすい。自分にとってはこれが筋トレをするモチベーションになっていた。

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 画像は同時期の筋質点(左)と筋肉量(右)の比較である。筋質点は1-2ヶ月でぐっと上がっているのに対し、筋肉量はほぼ横ばいなのが分かるだろうか?
 筋トレに挫折経験のある人なら共感してもらえると思うが、筋肉はそう簡単にでかくならない。だから筋肥大を目標にして筋トレをやると、なかなか成果が出なくて気が滅入る。筋質点は、最終的な目標である筋肥大効果が得られるまでの、言わばつなぎのインセンティブとして機能していた。
 インセンティブには獲得タイミングというものがあると思う。複数のインセンティブが適切なタイミングで提供されるように設計してあげると、モチベーションが維持されて継続しやすくなるだろう。

3. とにかく簡単にできるように

 だいたい、挫折の直接的なトリガーになるのは、「あー寒い、布団から出られなくて遅くなっちゃった……今日はトレーニングやらなくてもいいよね…時間ないし…」というような、普段と異なる状況における例外を自分に認めることである。最近 Switch の CM でガッキーが布団の中で動物の森をやっていたが、キャラクターの部屋にあるリングフィットアドベンチャーを見て、一念発起自分もやり始める、というのをやっている。正直言ってこれは夢の世界の話であって、普通の人は良心の呵責をかすかに感じつつ、動物の森を続けるであろう。(そしてこれ以上いやな気分にならないために、リングフィットを片付けておくかも知れない。)
 …ちょっと熱が入ってしまったが、まぁ、やらない理由はいくらでもあるということだ。多少自分につらいことを強いるものは特に、いろんな言い訳が今か今かと自分の出番を待っている。本当の意味で習慣化され、一日二日サボってもまた再開できるようになるまでは、この言い訳から自分を守ってあげる必要がある。
 だから、とにかく簡単にできるようにするのだ。やりたくなくなる理由を潰すように。朝起きれない可能性があるならお昼にやる。時間がないならいつでもできる短さにする(2分でいい)。メニューを考えるのが億劫なら同じやつを毎日。それじゃ飽きるって言うなら1週間分とか事前にルーティンを組んでおく。

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 過去の経験から、自分がやらなくなる理由をリストアップしてみよう。そして、それがどうやったら避けられるか、考えてみよう。

継続は力なり

 最後に、私が身につけた習慣を紹介しておきたい。

- 毎朝、10分の散歩
- 週4日、午後に30分の筋トレ
- 毎晩、風呂上がりにストレッチやヨガを20〜30分

 慣れてくると、なんだかんだ運動は楽しい。リフレッシュになるし、在宅続きで沈みがちだった気分も上向く。数値にはまだあらわれていないが、筋肉も少しずつ大きくなってきた実感がある。
 ぜひ、自分にあったやり方で、新しい運動習慣を取り入れてみてほしい。腕立て10回でも、スクワットでも、何でも良い。まずは楽しいと思えることを、ほんの少しだけ、毎日続けてみよう。

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