文章を書くのが苦手な人は「濃縮還元ジュース」のように書こう

 考えたこと、思ったことをパッと文章にできる人がいます。「あっ、これ書こう!」と思ったら2秒後にはPCに向かって書き始められる。そういう人は15分や30分ほどで一本の記事を書き上げることができます。

 ぼくはそういう芸当ができません。思っていること、考えていることを文章化しようとしてもうまくいかないのです。

 それは、思考がまとまっていなかったり、考えすぎたりするからでしょう。「どう見られるだろう……」という自意識が邪魔することもあります。1行進んでは1行消し……そうこうしているうちに書くのがイヤになってしまいます。

 では、ぼくはどうやって文章を書いているのか?

 意識しているのは「濃縮還元ジュース」です。「……ん? 濃縮還元ジュースってどういうこと??」と思われたかもしれません。ちょっと説明します。

「濃縮還元ジュース」は、こんなふうにつくるそうです。

①果実から水分を抜き濃縮させる
②凍らせる
③水などで還元して適度な濃さにする

 この「濃縮還元ジュース」のつくり方を文章作成に当てはめてみると、こんな感じです。

①思考を絞り出す
②寝かせる
③適度な濃さの文章にする

「思考」を「果実」にたとえます。思考をそのままスッと文章にできる人はいわば「生搾りジュース」がつくれる人です。考えていることをそのまま絞り出して、おいしい文章にできるのです。

 一方で、文章化が苦手な人は、いきなりジュースにすることはできません。もしできたとしても、おいしく飲みやすいジュースになることは稀です。果実そのものがまだ熟れていない場合もあるでしょうし、不純物が入ってしまう場合もあるでしょう。

 そこでオススメしたいのが「濃縮還元ジュース」の製法なのです。

 ひとつずつ工程を見ていきましょう。

①思考を絞り出す

 文章化が苦手な人に多いのは「なにを書くかが定まっていない」「書くことがそもそも足りていない」というパターンです。

 そういう人がむりやり文章を書くと、話があっちこっちに飛んだり、うすーいカルピスのような「なにが書いてあったか思い出せない」文章ができあがります。

 そこで、ふだんから思ったこと、考えたことをメモしておくことが必要になってきます。

 ぼくは「GoogleKeep」などのメモツールに、生活しているなかで思いついたことや「これは伝えたい!」と思ったことを箇条書きで残しています。(それをさらにツイッターに投稿すると、みんなの反応もわかってマーケティング感覚も磨かれます。)

 そうやって、頭のなかのモヤモヤから、言葉を取り出しておきます。小さな「思考のかたまり」を絞り出しておくのです。

②寝かせる

 読みやすい文章にするためには「客観的になる時間」が必要というのは以前のnoteにも書きました。

 ①で溜めた小さな「思考のかたまり」を少しのあいだ寝かせます。すると「あれ? この思考って、言われてみれば当たり前のことだな」と気づいたり「これはもう少し掘り下げるとこういうことかもしれないな」といった発見があったりします。

 また、他人の思考と合わさって思わぬ化学反応が起きることもあります。「思考のかたまり」を溜めて寝かせておくことで、考えが進化・熟成されるのです。

③適度な濃さの文章にする

 熟成された「思考のかたまり」が増えてきたら、いよいよ文章にしていきます。そのさいに考えるのは「適度な濃さ」にするということです。

 考えたこと、思ったことの「かたまり」をただ並べるだけだと、濃すぎるジュースになります。情報が詰まりすぎて、ゆっくり読まないとわからない文章になってしまうのです。かといって、ダラダラと余計なことを書き連ねてしまうと味のしないうすーいジュースになってしまうでしょう。

 よって、適度な濃さにする必要があるのです。

 ②の「思考のかたまり」に加えるといいのは、以下の2つです。

1)「それはどういうことか?」
「思考のかたまり」に説明を加えます。「自分が読み手だったらこれでわかるだろうか?」「引っかかるところはないだろうか?」と確認しながら説明しましょう。

2)「たとえばどういうことか?」
 思考を説明するだけだと抽象的になりがちなため、具体例を入れます。するとグッと文章が生きてきます。「たとえばどういうことか?」「その思考はどういうときに生まれたのか」を書くことで深みが増します。

 最後に言い忘れていました。

 ひとつの文章で言いたいことは極力「ひとつ」に絞るといいでしょう(この記事で言えば「文章は濃縮還元ジュースのように書け」です)。それを伝えるために、説明や具体例を過不足なく入れていく。そうすると、わかりやすく無駄のない文章ができあがるはずです。 

 思考をいきなり文章にできる人はそんなにいないと思います。ましてや、おもしろく読みやすい文章にできる人はさらに少ないでしょう。(「話すように書きなさい」というアドバイスもありますが、それは論理的におもしろく話せる人に限った話で、けっこうハードルは高いように思います。)

 まずは、「濃縮還元ジュース」をイメージして ①思考を絞り出す ②寝かせる ③適度な濃さの文章にする の工程をたどると、多くの人が読みやすく、おもしろいと思ってもらえる文章がつくれるのではないでしょうか。

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コメント2件

竹村さん

いつも、
素敵な言葉を
ありがとうございます。


いつも感じることなのですが、

竹村さんの文章は、
(読み手の都合で、速くも遅くもできるはずなのに)


読み手の速さに合わせて
進んでいく感覚がありました。


その不思議が
少し分かった気がします。


今日も、
ありがとうございます。
プレゼン資料で盛り込みすぎ、上司に、なんかさぁいっぱいあって、どれもエッセンスではあるけど、パッとしないよね。絞らないと。やる気を評価して30点、中身は0点だね笑 と申し訳なさそうに言われました。なにその「名前書いたから5点」式。いつか見返したい。と思っていた矢先に天啓を受けました。ありがとうございます。
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