第13回CiRAツアー 訪問記:人工多能性幹細胞研究の最前線を体感する

詳細は「第13回CiRAツアー 訪問記.pdf」を参照してください。

人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell:iPSC)は人間の皮膚や血液細胞などの体細胞に、ごく少数の遺伝子を導入し、培養することで、様々な組織や臓器の細胞に分化する能力とほぼ無限に増殖する能力をもつ多能性幹細胞である(図01,1)。

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図01.ヒト線維芽細胞由来人工多能性幹細胞(iPSC)。
 iPSCのコロニーをフィーダー細胞が取り囲んでいる。拡大倍率:40倍。

京都大学 iPS細胞研究所(Center for iPSC Research and Application:CiRA)は日本におけるiPSC研究の一大拠点で、様々な研究成果を世に送り出している(図02,2 ,3)。

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図02.京都大学 iPS細胞研究所(CiRA)。

2019年02月02日、私は第13回 CiRA研究棟見学会「CiRAツアー」に参加することで、CiRA概要の説明を受け、第2研究棟内を見学した(4)。

CiRA概要の説明で、私はiPSCやそれを使用している最新研究などを学んだ。

CiRA概要の説明を受けた後、私を含む第13回「CiRAツアー」参加者は第2研究棟(図03)内を見学した。

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図03.CiRA 第2研究棟。
肖像権対策のためモザイク処理済。

私は第13回「CiRAツアー」を振り返ることで、最新のiPSC研究の関する知識を学ぶことができた。
また、それ以上に、僅かとはいえ、細胞生物学研究の現場の空気を体感できたことは、私にとって非常に大きな収穫である。
私は海外がん医療情報リファレンスで多数のがん関連記事を翻訳する(5,6,7)際、PubMed(8)で論文を頻繁に調べる。こうした論文の信頼性は高いことは十分理解している。しかし、こうした論文の著者は研究の現場の空気を作っている、または、十分に理解している人でもある。一方、私のような科学系ブロガーやライターはこうした空気を理解できないので、こうした論文を熟読しても、雲を掴むように感じられることがよくある。
だからこそ、私にとって、第13回「CiRAツアー」にできたことは非常に幸運であった。その理由は、ほんの少しとはいえ、研究の現場の空気を体感できたからである。
第13回「CiRAツアー」のおかげで、よりじっくりとこうした論文を読めるようになったことは私にとって、大きな収穫である。
余談だが、『探検バクモン』「山中教授とめぐる京都大学 iPS細胞研究所」(2019年02月13日放送,9)で、山中は「iPS細胞は人間の寿命自体を伸ばすことはできないが、健康寿命を伸ばすことができる」と言った。彼の指摘通り、iPSCを利用する治療法などの発展により、各人の健康寿命が延長することで、その生活の質が十分に維持されれば有り難いと私は考える。

参考文献
1.京都大学 iPS細胞研究所.“iPS細胞とは?”.京都大学 iPS細胞研究所 ホームページ.もっと知るiPS細胞.よくある質問.https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/faq/faq_ips.html,(参照2019年02月22日).
2.京都大学 iPS細胞研究所.“京都大学 iPS細胞研究所 ホームページ”.http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/,(参照2019年02月22日).
3.京都大学 iPS細胞研究所.“研究成果”.京都大学 iPS細胞研究所 ホームページ.研究活動.http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/research/finding.html,(参照2019年02月22日).

4.京都大学 iPS細胞研究所.“【終了】研究棟見学会「CiRAツアー」の参加者募集を開始しました” .京都大学 iPS細胞研究所 ホームページ.ニュース・イベント.ニュース.2018年.イベント・セミナー.2018年12月03日.http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/seminar/181203-100000.html,(参照2019年02月22日).

5.一般社団法人 日本癌医療翻訳アソシエイツ.“がんの免疫療法について 発信元:米国国立がん研究所(NCI)ファクトシート”.海外がん医療情報リファレンス トップページ.記事一覧.2018年09月20日.https://www.cancerit.jp/60620.html,(参照2019年03月09日).
6.一般社団法人 日本癌医療翻訳アソシエイツ.“ヒトパピローマウイルス(HPV)とがん 発信元:米国国立がん研究所(NCI)ファクトシート”.海外がん医療情報リファレンス トップページ.記事一覧.2016年09月01日.https://www.cancerit.jp/1035.html,(参照2019年03月09日).
7.一般社団法人 日本癌医療翻訳アソシエイツ.“炎症性乳がん 発信元:米国国立がん研究所(NCI)ファクトシート”.海外がん医療情報リファレンス トップページ.記事一覧.2018年01月23日.https://www.cancerit.jp/58201.html,(参照2019年03月09日).
8.米国国立生物工学情報センター.“PubMed ホームページ”.https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/,(参照2019年03月09日).
9.日本放送協会.“2月13日(水曜日) 「山中教授とめぐる京都大学 iPS細胞研究所」”.NHKオンライン トップページ.番組をさがす.た行.た.探検バクモン.過去の放送.2019年02月13日.https://www4.nhk.or.jp/bakumon/x/2019-02-13/21/30051/1665523/,(参照2019年03月10日).

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