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おにぎりの『ラストひとくち』は虚しい

 おにぎりを食べる。
 食べていく。

 だんだん
 小さくなっていく。

 おにぎりの具を、
 すべて食べきってしまう。

 残ったのは、白ご飯。
 ラストひとくち。

 それはいつも、味気ない。

 白ご飯だけのひとくちは、
 どこか物足りない。
 口の中を占めるのは、
 具を失った白ご飯。

 最初のひとくちは良い。
 具にたどり着けずとも、
 すぐに目の前の具へ
 行けば良いのだから。

 だけれど、ラストひとくちはそうにも行かない。
 ただの白ご飯を、
 黙々と噛んで飲み込む。

 もう具とは会えない。
 おにぎりのラストひとくちは、
 ただの白ご飯。

 それを味気ないと言うのは、
 どれほど贅沢なことだろうか。

 具がある贅沢。
 のりがある贅沢。

 おかずがある贅沢。
 汁物がある贅沢。

 そんな贅沢が当たり前だから、
 おにぎりのラストひとくちを、
 虚しく感じてしまうんだ。

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