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初めて日が昇る前に外へ出た話。

 今日は早朝から外出していました。

 5:30に家を出たのですが、こんなに早く出発したのは人生で初めてです。

 ジョギングをする際にはもっと早い時間に出ていたりするのですが、目的地を定めて玄関を出るのは初めてです。

「……さむっ」

 3月になったというのに、底冷えするほどの寒さでした。
 モコモコの上着を着ていて良かったです。

 車通りが少なく、いつも騒がしい大通りはしんと静まり返っていました。
 それでも通る車はあり、こんな時間からお疲れ様ですと言いたくなります。

 いつも暖かい空気を出しているパン屋も、ひっそりと息を潜めていました。
 パンが1つも並べられておらず、考えてみれば当たり前なのに、パラレルワールドに飛んだような不思議な感覚に陥りました。

 いつもの道が、全くの別物になってしまった。
 時間帯が違うだけで、ここまで異なってしまうのかと、純粋に驚いていました。

 駅が見えてくると、電車の音が聞こえてきます。

 こんな時間からも電車が動いている事に、感謝しかありません。
 駅員の皆様に敬礼。

 始発に乗っている運転手さんは、どのような気持ちで運行しているのでしょうか。
 通勤ラッシュの時間帯を運転する際とは、心意気がまた変わってくるかと思います。

 電車の乗客ももちろん少なく、満員電車が恋しくなるほど空いていました。
 なぜかお爺さんお婆さんが多かった気がします。

 私は朝早くの電車に揺られて、遠い所まで運ばれて行きました。

 今日はどんな経験が待っているのだろうかと、期待を胸に抱きながら。 

 

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