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あがり症の仕組みと克服法

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あがり症の仕組みと、どうすれば良いかの具体的な克服法について、説明したものを集めたマガジンです。
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記事一覧

【森田療法】外相整って自ずから内相熟す

【森田療法】外相整って自ずから内相熟す

認知行動療法のなかに行動活性化という技法があります。

これは、例えばうつ症状が重いような時にはあれこれ考えるよりもむしろ、何らかの活動をした方がかえって状態が良くなるというものです。

例えばうつが重い時、動くのが億劫になります。

家に引きこもりがちになります。

あれこれマイナスなことを考えます。

ますます気落ちします。

うつが悪化します。

・・・

負のスパイラルです

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あがり症のカクテルパーティー効果

あがり症のカクテルパーティー効果

カクテルパーティー効果という心理学用語があります。

これは、例えばカクテルパーティーのようなザワザワしたうるさい場所でも、自分が関心のある人の声や関心のある内容の言葉は、なぜか聞こえてしまうというものです。

人間はうまくできたもので、単なる聴力だけではなく、こういった特性も兼ね備えているのです。

しかし、一方でそれが苦手な方もいます。

特にアスペルガー障害などの発達障害者の方に多いのですが

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あがり症をどう生きるか?~「あきらめ」と「あるがまま」の違い

あがり症をどう生きるか?~「あきらめ」と「あるがまま」の違い

あがり症は逆説の病です。

あがることをこれはいけないと捉え、何とかしようとすればするほど却って症状が悪化する。

いわば努力逆転の病とも言えるでしょう。

ではどうすれば良いか?

二つの考え方が挙げられるでしょう。

まず最初に「あきらめる」という発想があります。

あがり症は治りっこない、症状と闘っても余計に悪くなるとして、呼吸法をやったり、座禅を組んだり、恐怖場面に備えて準備するといったよ

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緊張と不安を静める正しいあり方

緊張と不安を静める正しいあり方

人が生きていく上で、様々な不安が当然のように湧いて出てきます。

経済的なもの、就職、家族関係、地震などの災害、異動、恋愛、結婚、老い、等々数え挙げればきりがありません。

いわば不安と共に生きていくのが人生と言えるのかもしれません。

また、不安があるからこそ人間はそれに対処しようと前に進んでいけるのかもしれません。

しかし、ある人達は、人生を取り巻くこの無数の不安に対処していくことに困難を感

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あがり症者の十界互具

あがり症者の十界互具

十界互具という言葉があります。

これは、人間には全てのものが本来備わっているという仏教の考えです。

十界とは、地獄界・餓鬼界・畜生界・修羅界・人界・天界・声聞界・縁覚界・菩薩界・仏界をさします。

鬼の目に涙と言います。

残虐な殺人を科した死刑囚が、牢獄で改竣して優れた詩を残した人もいます。

日頃穏やかで誠実な人が、時に非情な振る舞いを見せることがあります。

ナチス、ウイグル自治区、北朝

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自己治療仮説と対人恐怖症

自己治療仮説と対人恐怖症

対人恐怖症に苦しむようになってくると、人との関わりで何らかの対応を取らざるを得なくなります。

人によってはそういった場面を避ける、回避の手段を取るかもしれません。

またある人は、何らかの力にすがろうとするかもしれません。

それは呼吸法であったり、座禅であったり、自己暗示であったり。

あがり症の人は、色々な方法を試す傾向があります。

その中で物質に頼るというケースもあります。

それはアル

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あがり症の生き方~生きる欲望の強さゆえに

あがり症の生き方~生きる欲望の強さゆえに

内気な人がいるとします。

引っ込み思案で消極的。

目立たず存在感があまりないような感じ。

人前に出るとはにかみ顔を赤らめる。

彼らは自分が内気であることを程度にこそ差があれ受け入れています。

自分はこんなんだし・・・

自分はこれぐらいでいいや・・・

あんなふうになれっこないし・・・

自分がそうである事を認めているのです。

あがり症の人がいるとします。

時に内気な人と同じように見

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あがり症の生き方と他者貢献の生き方の違い

あがり症の生き方と他者貢献の生き方の違い

「日本で大切にしたい会社」(坂本光司著)という本があります。

そこに日本理化学工業という会社のことが書かれています。

概略を書きます。

この会社はチョークを製造している会社で設立は昭和12年です。

昭和35年に知的障害者の方を2名雇用しました。

現在では障害者雇用は広く世に知られ促進されていますが、当時はそんな言葉さえなかったような時代です。

障害者の方々は、一般市民とは接点の少ない世

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森田療法~どしどし活動する

森田療法~どしどし活動する

日本で生まれた数少ない心理療法の一つである森田療法は、 20世紀初頭に誕生した後、歴史の審判にも耐え、その実証を示して今に至ります。

その森田療法を生み出した森田正馬の弟子に高良武久がいます。

高良は東京の新宿区に高良興生院を開設し、そこで臥褥療法と呼ばれる森田入院療法を長年に渡って行ってきました。

現在、高良は鬼籍に入り、興生院は閉鎖され、今現在はその跡地には障害者施設が建っています。

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あがり症を隠し続けた能面を外す

あがり症を隠し続けた能面を外す

あがり症の方は、「かくあらねばならない」という意識が非常に強いです。

特に人との交わりにおいてそれはより一層強くなります。

「かくあらねばならない」すなわちこうあるべきという自分に対する「べき思考」は、自分を縛り、苦しめます。

ここでは、こう言った方がいい。
ここは何か言わないと。
ここはビビってないふりをしよう。

人の思惑を気にし、それに沿うように発言する。

それは、さながら自分ではな

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森田療法~森田正馬「不眠症」の事例

森田療法~森田正馬「不眠症」の事例

森田療法の創始者である森田正馬先生の事例を挙げていきます。

森田は1900年代初頭に、数少ない日本発の療法として森田療法を築きあげました。

森田療法とは今で言う、社交不安障害やパニック障害、強迫神経症等のいわゆる森田神経質症に対する精神療法を言います。

当時はフロイトの精神分析が無意識を概念として取り入れ始め、精神医学や臨床心理学の基礎を構築していました。

おそらくは当時においてフロイトが

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0病息災のあがり症

0病息災のあがり症

健康中毒とも言うべき人がいます。
自分の健康状態を気にして完璧を求めるのです。

健康でなければならないという信念をもとに、自身の健康状態にやれここが悪い、あそこが悪いだのと日々チェックを入れるのです。

人によっては、

おなかが痛いと胃がんでは?
ちょっと体の調子が悪いと自立神経失調症か何かでは?
ちょっと頭が痛いと脳梗塞?

などといったように不安に襲われます。

これはあがり症の仕組みと同

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あがり症に必要な「事実本位」

あがり症に必要な「事実本位」

我々は精神的に調子が悪い時には、特にメンタルヘルスの疾患にかかってしまったような時には、どうしても偏った思考になりがちです。

そういったものを認知の歪みと言いますが、その中に先読み思考と深読み思考というものがあります。

あがり症の方は、この先読み思考と深読み思考の傾向が通常より高いのですが、まず先読み思考とは、将来についての見通しを意味します。

何か自分の怖れている未来を考えた時に、こうなる

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あがり症に病んだ私の悲哀~モアイの審判

あがり症に病んだ私の悲哀~モアイの審判

私はこれまで何回か専門家に自分のあがり症のことについて相談しました。

一回目は高校2年生の頃。
秋田の田舎の山里奥深くにあるような精神科。

誇り高かったその頃の私にとって、精神病院と呼ばれる所に行くということは自分のプライドを強烈なまでにズタズタにする出来事でした。

そして、このことは私にとって断じて人には知られてはならないことだったので、人目を忍んでコソコソまるで泥棒のように精神病院のドア

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