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【読書感想】羽田圭介『スクラップ・アンド・ビルド』

2018/07/22 読了。

羽田圭介『スクラップ・アンド・ビルド』

第153回芥川賞受賞作。文庫化を待ち侘びてました。

求職活動中の無職28才の健斗と、「じいちゃんなんか、早う死んだらよか」が口癖の87歳の祖父のお話。

ちょっとかなり面白かった。
印象的な文章が多くて、声をあげて笑ってしまうところも多々あった。

苦痛のない穏やかな死を迎えるために、過剰な足し算介護をして早く弱らせようとする孫。

糞ジジイと罵り、食べた皿は自分で持ってこいとどやしつける娘(因みにじいちゃんの身辺自立と運動機能保持に役に立ってしまっている) . . . .

死にたいと言いながら、ピザにタマネギをトッピングし、より美味しく食べようとする祖父。

じいさんは酷く傷付いているように見えるんだけど、終盤のじいさんの一言で見方がガラッと変わる。

もしかして、じいさんは無職の孫に「仕事」を与えてあげてたんじゃないかな、と。

主人公の健斗が、電車で老人に席を譲るか葛藤するシーンがとても好き。私も高齢者を弱者と決め付けてたかもしれないなあと反省もした。

介護施設あるあるも面白かった。

同居してる家族と別で暮らしてる家族。この距離感ね。面白かった。

ちょっと短絡的なとこもあるけど、健斗はよく観察してるし、いい孫。介護保険もよく勉強してる。

じいさんは、策士。たぶん、狡い。

お母さんが1番偉いし、正しいし、苦しい。 

じいさんに対して放った、「お母さんって呼ぶな」が作中で1番好きな台詞です。

お母さんじゃないんだよ。娘なんだよ。でも、ここもおじいちゃんの狡猾さが垣間見られるんだよなぁ。ほんと狡い。

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