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【読書感想】西條奈加『ごんたくれ』

2018/03/25 はじめての本、読了。

西條奈加『ごんたくれ』

江戸後期の京都が舞台の時代長編小説。史実と創作の混ざり具合がいい塩梅だった。

深山箏白と吉村胡雪、才能ある異端な絵師ふたりの話。実在した絵師、曾我蕭白(深山箏白)と長沢芦雪(吉村胡雪)がモデルとなっている。池大雅や円山応挙、伊藤若冲など実在した人物も多く出てくる。

曾我蕭白と長沢芦雪であって、曾我蕭白と長沢芦雪でないため、2人の絡みは創作としてとても楽しめた。絵師としての畏れと憧れがいつしか認め合える友になっていく過程は読んでいて心躍った。

実際にどうであったのかのではなく、「こうだったら面白い」「こうだったら説得力が増す」という考察と浪漫が融合しあった形はごんたくれの世界観に没頭させてくれた。大河ドラマや時代小説で、史実と違いすぎると批判が出たりするけど、モデルと割り切ってしまうことでその辺をうまく黙らせるというか、切り離してしまうというか、とにかく作者の設定の巧さに感動した。

私は絵心がなくて、日本のも海外のもよくわからない。最初、ごんたくれも絵師モノと知って付いていけるか不安だった。でも読み終えた今は、絵を実際に目にしてみたい気持ちでいっぱい。今までとは違う京都歩きができる気がする。ごんたくれを読まなかったら、曾我蕭白と長沢芦雪の絵なんて知る事無かっただろうな。たまにこうやって、興味のなかった物の見方を教えてくれる小説との出会いがあるから、読書はやめられない。

いつも芦雪の尻っぺたを蕭白が叩いているんだけど、ラストで蕭白もまた芦雪に背中を押されていたのだと分かる。読後は爽快感が突き抜ける。本当に傑作だと思います。

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