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スウェットロッジとはなんなのか

スウェットロッジ。
1000年以上前から続いてきたネイティブアメリカンの伝統儀式で、個人の成長やコミュニティの結束に欠かせない最も重要な儀式の一つとされてきたものです。
その伝統を守り続けたラコタ族の言葉では「イニィピー」と呼ばれ、それは子宮回帰を意味するそうです。

小さなドーム状の小屋。参加者は四つん這いになって入っていき、囲炉裏を囲むように隙間なくぎゅうぎゅうに座る。儀式が始まると、真っ赤に焼けた大きな石が次々と中に運び込まれ、水が注がれ、蒸気が舞い上がる中、扉が閉まる。自分の手すら見えない真っ暗闇の中、かつてない熱さを浴びていく。

そんなスウェットロッジには、これまでも本当に様々な人が入ってきたと思いますが、あの、アラスカに暮らしながら人と自然のかかわりを撮り続けた写真家・星野 道夫さんも入っていたようです。

それはスー族やナバホ族をはじめとするアメリカインディアンに今も残る古い儀式だった。自己の魂と出会うため、たった一人で何も食わずに山をさまようヴィジョン・クウェストという旅に出る時、人々はスウェットロッジで身を清めるという。
星野 道夫『表現者』(Switch library)より
ぼくは儀式の最中、意識が薄れてゆく中で、人が祈るという姿に打たれていた。人は旅をしているのだと思った。そして、誰もが、それぞれの闇の中から抜け出さなければならないのだ。人はいつも、それぞれの光を捜し求める、長い旅の途中なのだ。
星野 道夫『ノーザンライツ』(新潮文庫)より


そして、僕はというと、トランジションを意識するタイミングでもあり、様々な縁が重なりあれよあれよと流れつき、2022年にスウェットロッジに入りました。

常に囚われている自分の思考やそのクセから離れたところに、果たしてどのような自分が在るのか、それを感じることを求めていると、儀式の最初に告げました。
そして、実際にそこで起きたことを言葉に表すのは難しいのですが、敢えて表現すると、(僕も)意識が薄れてゆく中で、おりてきたのは僕自身が全く自覚をしてしなかった、ある大切な人に対する恨みに似た感情でした。その感情は、その人が抱えていた痛みを気付かせてくれて、そしてそれは祈り、感謝へと変化し、浄化へと向かいました。その感情と繋がっていた僕のコンプレックスはチカラとなり、他者に贈れる癒しの手段へと変わりました。

まさに僕にとって生まれ変わりの儀式となったのがこのスウェットロッジでした。

そんな僕も、この体験をきっかけに、スウェットロッジの運営に携わるようになり、“私を取り巻く様々な生命、存在との調和を追求し大切なことを主体的に学びとっていく環境教育・関係教育”を行っている松木 正さんたちの「マザーアース・エデュケーション」や、“人生が変わる体験を共にする”山下 悠一さんたちの「ヒューマンポテンシャルラボ」とともに、軽井沢にて春と秋に行っています。

ただ、僕が普段行っているような企業向けの研修や学びのイベントのように、広くたくさんの人たちに体験をしてもらい、意識変容のきっかけとしてもらいたいというようなものではありません。

今この瞬間に大きなトランジションタイミングを感じている、なんだか妙に気になってしまう、そしてここへと繋がる縁や流れを感じる、そういった人にはおのずと、この生まれ変わりの儀式「スウェットロッジ」に入るきっかけが訪れる、そんな風に感じています。

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