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感染症

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人獣共通感染症(ズーノーシス)に関する記事をまとめています。とりわけ食肉など動物性タンパク質と感染症の関連を紹介しています。
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感染症と食肉加工 裏に潜む格差(4/4)

感染症と食肉加工 裏に潜む格差(4/4)

◉要約
食肉工場で感染症を爆発的に拡大させる物理的・社会的・経済的要因に対策を施し、これら問題の温床である格差を是正することが求められる。感染症のリスクを根本的に改善する手段として、新たなタンパク質供給方法である代替タンパク質への移行も期待される。

これまで、食肉加工場で新型肺炎が感染拡大している状況と背景、そして、前回はその原因を解説しました。

これら食肉工場で感染拡大を招く要因をどのように

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感染症と食肉加工 裏に潜む格差(3/4)

感染症と食肉加工 裏に潜む格差(3/4)

◎要約
世界中、特にアメリカにおいて、食肉加工場での感染が拡大している理由として、物理的要因、社会的要因、経済的要因が挙げられる。とりわけ、有色人種や移民を取り巻く状況や「格差」が事態を悪化させており、状況改善、再発防止のため、速やかな改善が求められる。

前回まで、食肉加工場での感染拡大の状況と背景を紹介してきました。

そこで、今回は、本題の食肉加工業で感染が拡大している原因を解説します。

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感染症と食肉加工 裏に潜む格差(2/4)

感染症と食肉加工 裏に潜む格差(2/4)

◎要約
アメリカの食肉加工業は、寡占化が進み、わずか上位数社で食肉生産の大半を担っている。食肉大手の施設を筆頭に、食肉工場の労働者の感染率は二桁に迫る。一般的な食品工場の感染率の数十倍に至ることから、食肉工場で感染が拡大する原因として、閉鎖空間以外の大きな要因が示唆される。

前回の記事では、食肉加工場での感染拡大の状況をお伝えしました。今回は、食肉加工業で感染が拡大している背景を説明します。

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感染症と食肉加工 裏に潜む格差(1/4)

感染症と食肉加工 裏に潜む格差(1/4)

◎要約
アメリカを中心に、世界中の食肉加工場で新型肺炎が蔓延し、数百人から千人規模のクラスターが次々と生まれている。工場が相次いで閉鎖されたことで、食肉供給も多大な影響を受けており、感染爆発のキードライバーである食肉工場における集団感染の迅速な収束が求められている。

前回、感染症の歴史を踏まえ、その原因と予防策を、3つの記事にわたって投稿しました。

特に感染症と動物・家畜の関係について掘り下げ

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人類 vs. 感染症 「新型」タンパク質が鍵に?(下)

人類 vs. 感染症 「新型」タンパク質が鍵に?(下)

これまで、感染症がどのようにして広まったのか、なぜ未だに発生するのか、ということを説明しました。

では、どうすれば感染症の繰り返しがなくなるのでしょうか。そこで、最後となる今回は、感染症の根本的な対策を紹介しようと思います。

◉目次
 ①感染症の歴史 −人類 vs. 感染症 「新型」タンパク質が鍵に?(上)
 ②感染症の原因 −人類 vs. 感染症 「新型」タンパク質が鍵に?(中)
 ③感染症

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人類 vs. 感染症 「新型」タンパク質が鍵に?(中)

人類 vs. 感染症 「新型」タンパク質が鍵に?(中)

前回の記事では、感染症がどのようにして広まったのかという点を説明するため、感染症の歴史を振り返りました。

では、なぜ未だに感染症が繰り返し発生するのでしょうか。そこで、今回は、感染症の要因を深堀りしてみます。

◉目次
 ①感染症の歴史 −人類 vs. 感染症 「新型」タンパク質が鍵に?(上)
 ②感染症の原因 −人類 vs. 感染症 「新型」タンパク質が鍵に?(中)
 ③感染症の予防策 −人類

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人類 vs. 感染症 「新型」タンパク質が鍵に?(上)

人類 vs. 感染症 「新型」タンパク質が鍵に?(上)

◉要約
感染症は、野生動物を家畜化して共生し始めて以降、人間を苦しませてきた。動物を介して人間に感染することから、動物からの媒介を減らして未知の感染症の発生リスクを下げる予防策が必要となる。そこで、動物性タンパク質を代替・効率的に生産する4つの方法や、その方法で作られる代替タンパク質が広まれば、歴史の繰り返しがなくなるのではと期待されている。

皆さん、元気にお過ごしでしょうか。自分の住むエリアも

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