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【数学ガールの秘密ノート[丸い三角関数]】初学者向けではないが、独特の視点が面白い数学学習本

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜違う角度から三角関数を考える〜

今現在、数学の学び直しをしているところであり、学生当時1番苦手だった「三角関数」を重点的にやっている。

数学の書籍を検索すると、必ずと言って良いほど出てくるこの「数学ガール」シリーズは、前々から気になっていた。
「数学ガール」シリーズは扱う内容が「フェルマーの最終定理」や「ゲーデルの不完全性定理」など、高校数学以上のものが対象となっているが、「数学ガールの秘密ノート」シリーズは中学高校で扱う内容が主となっており、学び直しには「秘密ノート」が良いと思っていた。今回、三角関数の学習の締めくくりとしてこの「丸い三角関数」を読んでみたのだが、率直な感想を言えば、ある程度三角関数を勉強した上で読んだから面白かったのだと思う。

本書で学ぶ三角関数は、視点が独特であり、高校で習う内容に沿ったモノではない。
ある程度、三角関数の知識を持った上で読むことで、三角関数を違った角度で学ぶことができるが、三角関数初学者がいきなりこれを読むと、学校で習う内容と違いすぎて戸惑うかもしれない

まさに勉強中の高校生や中学生には、テスト勉強の邪魔になりかねないので、そういった人たちにはオススメできない。


〜リサージュ関数、円周率〜

さて、他の三角関数の本と大きく違うなぁと思ったのは、リサージュ関数と円周率の章である。

リサージュ関数とは、物理学において使われる図形でありら、電気の実験などで見られるものらしい。僕はその存在を本書で知った。
たしかに興味深いトピックではあるが、第二章まるまるページを割いているため、リサージュ関数をがっつりやることになる。
序盤も序盤になる第二章で、こんな突飛な内容を持ってくることに驚く。また、第4章では、「円周率を導き出す」手法が解説されるのだが、これも「あえて三角関数を使わない」展開になるのである。

正直、「三角関数」を学ぼうとして本書を手に取った人にとってはここの2つの章でズッコケるかもしれない。
ここの2章だけどうも異質なのである。


〜数学学習における「おまけ」的な本〜

とはいえ、面白い内容であることは間違いない。
個人的には三角関数の知識を深められたと感じてるし、新しい視点も得られて満足だ。

しかし、何度も書くように、初学者向けの本ではない。
「よし、三角関数を勉強するぞ!」という人が、いきなりこの本を手に取ると、「これ、何やってんの?」と必ずつまずくし、ボリュームの割に内容はあまり豊富ではない。

逆に言えば、サクッと読み通せる手軽さがある。おそらく、他の「秘密ノート」シリーズも同じような内容かと思われるので、数学の各分野をある程度勉強した後に「おまけ」的な感覚で読むと非常に面白いと思われる。

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