見出し画像

今までの国民性

日本は昔、アメリカの黒船に驚いた。そして、イギリスの機械工業に驚いた。

それがあれよあれよと、追いつき、世界を驚かせた。トヨタとかがね。

それ以前だってすごい。日本文化のルーツは中国と思うかもしれない。たしかに、金属の文化や思想を取り込んできた。だが、その後を見てみたらどうだろう。国風文化だ。あれは中国からのヒントを土台に、日本で醸成した文化だ。

以上のように、日本にぼんやりとある文化は、ヒントに対してすごい化学反応をする。

技術や思想の面で考えれば、技術の基盤や思想の基盤は、あまり日本に無いのではないか。

ひとつある。

面白いことに、この日本ならではの基盤を知ると、今までの産業革命や文化の発展に合点がいく。

日本にあるのは発酵文化だ。酒は海外でもあるが、それ以外に日本には納豆や味噌、魚の麹漬けなどの保存食がある。

この発酵食品が食べれると、なぜ思いついたのか?なぜかは分からないが、つまりたくさん試したのだろう。よく試そうと思ったものだ。

環境がそうさせた面と、国民性がそうさせた面があるだろう。いずれにせよ、発酵に対する研究的な姿勢が身についている。

そう思って国風文化や日本の工業化を見るとどうだろう。外国から入ってきたものに驚き、観察し、触れ、分解し、理解し、組み立て直す。やや語弊はあるかもしれないが、そのサイクルはまるで発酵だ。

発酵には酵母が必要だ。日本人の中には酵母があると思う。それは何かと言うと、独特の感性というやつだ。ひとつの事に向き合うのが得意な傾向があり、発想力は身の回りの自然のごとく豊かだ。ひとつの事に向き合える環境は、コミュニティー内での分業が醸成した性質なのではないか。また、想像力は、漫画を例にすればわかりやすいだろう。漫画や小説では、同じようなストーリーの軸の中で、次々に想像を絶する多様性が生まれている。

僕らがこんな性質を持っていると思うと、なんか希望が持てる気がする。しかし、この国民性は徐々に薄れているのは、よく耳にすることだ。

リベラルという言葉があるが、これは言い訳としての自己中心主義を同時に誘発する。欧米化していると言われるが、言い訳としてそれが使いやすいという面もあるだろう。

今では、独特の感性の消費先が、画面の中に分散して閉じ込められるようになった。この分散が、発酵するのに十分な量の供給を遮るのではないかと思ったりする。

日本人の国民性は保存されつつも、総量が減っていく。人口減少と酵母の離散によって淘汰されちゃう。

余談だが、日本が発酵的な国民性だとしたら、欧米の国民性は蒸溜に例えられると思う。ぜひ想像して、調べて、分解して、あなたの頭で発酵させて欲しい。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

今回の話を分かりやすく、もっとしっかりと論じた本や公演を紹介しておく。

本:『日本再興戦略』, 2018, 落合陽一(写真家・メディアアーティスト・准教授)

YouTube: シン・ニホン 安宅和人
Ted×Tokyo, 2018, 安宅和人(教授)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?