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デザイナーこそ、論理的な提案力が必要な理由

本記事では、デザイナーになぜ論理的なプレゼンテーション力が必要か、自分なりに調べたスキルを紹介します。

ベンチャー企業やスタートアップ企業では、デザインがステークホルダーの承認を得るために、デザイナーがデザイン意図を論理的に説明する場面があります。これは、デザインがビジネスの成果に直結するため、経営者や投資家はデザインに対して非常に厳しい目を持っているためです。

そのため、デザイナーはデザインに関する知識や技術だけでなく、プレゼンテーションスキルを身につける必要があります。これにより、デザインを論理的に説明し、役員や投資家に納得してもらうことができるようになります。

I. 序論

「自分のデザインがクライアントや上司に納得してもらえない。」
そんな経験をしたことはありますか?
僕は何度もあってその度に落ち込んでました。その度に自分のつくるデザインが悪いのだろう、ではもっと良いデザインを作らねばと思いましたが結果は同じ。
モヤモヤした日が続く中、「デザインの伝え方」という本が目に止まり、まさに自分が悩んでいるタイトルなので、即買いしました。
読んで自分の認識の甘さを痛感し、デザインをきちんと説明することの重要さ、デザインだけでなく自分の意見を理論付けて説明することが重要であることがわかりました。

ステークホルダーにとっては、自分たちの考えの方がデザイナーの意見やアイディアよりも重要なのであって、我々はその事実をしっかり認識しなければなりません。

デザインの伝え方

この本を読んでから少しはミーティングで伝わるようになったかと思いました。一発では通らなくても少なくとも議論は前進するようになりました。
いちいち細かい説明しなくても、いいものを作ればわかってくれる、という甘えがあったからかもしれません。
以後、どのように提案するかを調べていくうちにロジカルシンキング、論理思考、仮説思考など、論理付けて物事を考える方法があることを知りました。
特に「ロジカル・プレゼンテーション」はビジネスにおける提案の大切さから、論理思考、仮説検証力など、プレゼンテーションスキルの技術について一冊でわかりやすく説明されていました。
コンサル業界では当たり前のメソッドのようですが、恥ずかしながら僕ができていない所が多々あったので、まとめていきたいと思います。

II. 論理的思考力(ロジカル・シンキング)

A. 論理的とは

論理的とは、簡単に言えば「話がちゃんとつながっている」状態のことをいいます。
「なんだ、簡単なことじゃないか」と言われそうですが、自分からみて話がつながっていても、相手が聞いて話がつながっていないと思われたら、それは「話がつながっていない」ことになってしまいます。
なぜなら、主導権はクライアントやステークホルダーにあるため、話がつながっていなければ、論理的にデザインを説明できていないと判断されるためです。
そのため、
■縦の論理「誰から見ても因果関係が理解できる」
■横の論理「誰から見ても全体がカバーされていて、漏れもダブりもない」

状態にすることが大切になります。

B. 縦の論理を構築

縦の論理がつながってない場合、相手に「本当にそうなの?」と思われます。それらをなくす方法は以下になります。

1.前提条件のちがい
まず自分が話している話題の前提条件を疑いましょう。 自分と違う経験をしてきた人や、全く価値観の異なる人の話を聞くことが大事です。
2.異質なものを同質化
提案したい内容と違う話を混ぜてないか、このテーマはもっと細かく分けて議論する必要がないか、自分に問いかけます。 つまり、この話はもっと細かく分けて別の機会に議論する内容ではないか確認します。
3.偶然の必然化
AとBの因果関係が大きく飛躍し、単なる偶然ではないかと疑ってみることです。 これには極力否定的に考えてみることが大事です。つながりが怪しいのに「 AならばBである」と言って偶然を必然と勘違いしていないか、確認してみましょう。

C. 横の論理を構築

横の論理がつながってない場合、相手に「それだけなの?」と思われます。それらをなくす方法は以下になります。
1.言葉のレベル感を意識する
ビジネスの場では、言葉のレベル感の違いによって議論がずれてしまうことがあります。 デザイナー、ディレクター、マーケターは、経営者と立場によって視点が違うということを理解する必要があります。
2.漏れをなくす

全体をもれなく発想するためには、フレームワークを用いると言う解説をよく目にします。マーケティングの5P(製品、価格、立地、宣伝、パッケージ)などがありますが、デザインの場合は、提案するデザインによって変わります。
なぜこのビジュアルにしたのか、なぜこのUIにしたのかを説明するのですが、なんとなくではなく、言語化することをおすすめします。
提案の時は全部説明する必要はないですが、突っ込まれた際に答えられるように、どのような制作物にもドキュメントにすると良いです。

III. デザインの提案に適用する方法

提案時に必要なのは、デザインだけではなく、何を決めて欲しいか、論点を明確に伝えることが大事になります。

A. まずは「相手に意思判断を求める」スタンスで

議論のスタンスは主に2つあります。
1.何か意思判断をしてもらいたい
2. 単に聞いてもらいたいだけ
1は自分が言ったことに対して、相手がどう思ったかを判断してもらい、次に自分のアクションを決める場合です。2は同僚との雑談、愚痴、噂話など、何気ない会話がこの部類になります。
従って1の「相手に意思判断を求める」と言うスタンスを常に明確にすることが必要です。特に提案は具体的な話で提示すると伝わりやすくなります。
例えば、
社内用プレゼン:協力すべき部門のリストと担当者を提示し、協力いただけますか、と問う
社外用プレゼン:スケジュールと作業計画を提示し、この進め方で良いですか?

B. 論点を把握する

論点を把握するには経験が必要になりますが、おおよその判断はできます。

1 相手の意思判断を求めるスタンスで話をしている
2 相手の要求を理解しているか
3 上記の「縦の論理」「横の論理」をちゃんと洗い出せているか

C.アナログのスキルも必要

論点を把握するには、感覚的なスキル、つまり、相手の顔色やその場の雰囲気、過去の経緯、会話の流れ等の中から、なんとなく 察知していくと言うアナログ的なスキルも必要にもなります。
アナログスキルは経験がどうしても必要になってしまうのですが、ステークホルダーの好みや、デザインのどこを見ているのかっていうのも把握する必要があります。

D.議論が脱線しないために

意外と多いのは、論点とは全く関係ないに話が集中してしまうケースです。
そうならないために、ステークホルダーが気が散るような原因と思われる要素は全て排除していく必要があります。
例えば、ダミーのテキストや画像について、なぜかステークホルダーがこだわってしまい、会議がなかなか前に進まないこともあります。そうならないために、なるべくダミーの部分はなくす必要があります。
・この人が1番重視してる事は何か
・このデザインでこの人が目指しているのは何か
・この人は望んでいることと、望んでいないことのうち、自分が既に知っているのは何か

こうした質問を自分自身に何か聞いてみると、どのような反応が来るのかイメージできそうできるところを事前にチェックしてみてください。 予測できる反対意見と、それに対する自分自身の返事を並べたリストを作成し、それを頭にたたきこんでおくのも良いです。

Ⅳ. 結論

以上デザイナーが論理的に物事を考えることのメリットをまとめると、以下になります。

A. 自分の考えがクリアになる

まず、自分が意外と「そもそも何を言うべきかがわかってないこと」に気づきます。 また、制作したデザインの意図が明確になり、 それが、相手に伝わり議論が前に進みやすくなります。

B. 本来の目的に立ち返ることができる

伝わるデザインの提案をするには、自分の制作しているデザインのビジネス背景を理解する必要があるので、 単に言われたことをやって仕事をしているのではなく、事業にコミットした制作物を作れるようになります。

最後に
デザインに時間かける事はもちろん大事ですが、それと同じ位どのように提案するか、自分の考えを止め、相手の立場を考え、具体的な提案することのことに注力することの大切さを知りました。

参考図書

ロジカル・プレゼンテーション

ロジカル・プレゼンテーション

デザインの伝え方

デザインの伝え方

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