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競合不在は赤信号

「このアイデアには競合がいません!」「この新規事業は画期的です!」そんなピッチを耳にしたので、今回は競合不在は危険な証拠と解説してみたいと思う。

 何故競合不在は危険か。一つ目の理由は顧客の課題が存在しない(誰も困っていない)可能性が高いから。

 アイデアが市場に受け入れられるための最も基本的な要件は、顧客の実際の課題やニーズに応えること。もし仮に人が本当に困りごとや願いごとを持っていれば、そのビジネスチャンスを見つけた人の手により、世の中には製品やサービスが登場し始めるもの。

 類似のアイデアが一つも見当たらないということは、顧客の課題自体がそもそも存在しない、つまり製品やサービスを作ったとしても誰も求めてくれない状況と同じ。

 例えば、「スイカに塩をかけると甘く感じて美味しいから、ミカン専用の塩を作ろう!」というアイデアを思いつき、ぐぐって類似商品が何一つとしてなかったとする。それが意味することは、誰も塩気のあるミカンを食べたいと思っていない証拠。

 何故競合不在は危険か。二つ目の理由は解決策が実現できない(技術的な理由などで作り上げられない)可能性が高いから。

 顧客の課題を見つけた後、アイデアが市場に受け入れられる要件は、その課題を見事に解決することができる製品やサービスを作り上げられること。

 類似のアイデアが一つも見当たらない場合、顧客の課題が存在していても、それに応える製品やサービスが何らかの事情で作り上げられていない可能性が高い。

 例えば、「ミカンの収穫が大変だから、ドローンで自動収穫させよう!」というアイデアに対し、収穫に苦労しているミカン農家の課題があったとしても、ドローンの運転精度の関係で適切にミカンを収穫できず、木々や果実に傷を付けるだけに終わってしまう、といった風に。

 何故競合不在は危険か。三つ目の理由はビジネスとして収支が合わない可能性が高いから。

 顧客の課題を見つけ、製品やサービスを作り上げられた後、アイデアが市場に受け入れられる要件は、ビジネスとして利益を出せること。

 類似のアイデアが一つも見当たらないということは、顧客の課題が存在していたとしても、それに応える製品やサービスを作り上げられたとしても、ビジネスモデルをどれだけ改善してもマネタイズできないことに同義。

 例えば、「ミカンのドローン収穫」というアイデアを技術的に実現できたとしても、ミカン一つを収穫する度に100円のコストが発生しては、顧客である農家の支払い限界を見事に超えて大赤字で終わってしまう、といった風に。

 競合不在のアイデアは魅力的に見えるもの。けれどもそれは赤信号の可能性が大。顧客のニーズは本当に存在しているんだろうか、技術的に作り上げられるだろうか、そしてビジネスとして回るのだろうか、それら三つのポイントを注意深くチェックしていこう。アイデアをカタチにしたい皆様の一助となりますように。

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