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自故日記⑵

今日は久々に雲が出て、連日の猛暑が少しおさまった。

連日の40℃越えはさすがに苦しい。
暑いというのを超えて日差しが痛いくらいだ。

入院して4日が経って、いよいよ手術だ。

僕は手術を記憶があるうちに受けたことはない。
頭に数本の医療用ホチキスを打ち込まれたことくらいだ。

手術前夜から食事と水分補給が禁じられる。
しかしこの段階では食欲もあまりなかったので喉が渇くかもしれないなという不安くらいだった。

手術室に運ばれる。

まずは、麻酔を打つ。手術中の痛みに耐えられるように、また動いてしまわないように麻酔をかける必要がある。

背中の背骨のあたりから数回注射を打ち込む。
僕は注射に関してはそんなに恐怖心はない。

打ち込むものが何かを知っていれば。

そして、麻酔がしっかり効いているかどうかを確認する作業が始まった。

麻酔がかかっている部分を摘んだりして「痛い?」と聞いてくる。

僕は痛みに対して強い。
また、痛みに対してそんなに「痛い」と言いたくない負けず嫌いな部分がある。

大して痛くなかったら痛くないのだ。

そもそもラオス人が皮膚を摘むその力自体が弱い。
だけど、それを「痛くない」と言ってしまい

麻酔がかかっていると思われて手術へ移行されてしまったらその後がたまったもんじゃない。

僕の痛み感覚としては全く痛くないのだけれど、気持ちをめちゃくちゃ弱くして

「痛い」

と言っていた。
実際は痛いというよりはつねっている感覚を感じているかどうかだ。

しかし、数分後の医師たちの行動に僕はその後驚いてしまった。


なんと、アルコールか何かを綿に浸してそれを皮膚に当てて冷たいかどうかを聞いてきたんだ。

麻酔がかかっていない部分にはものすごく冷たかった。

麻酔をかけた部分は本当に何も感じなかった。

最初からこれやってくれたらよかったのに…。

そんなこんなで手術へと進んでいった。

僕の受けた手術は折れている脛の脛骨(太い骨)の中にチタン製の金属のプレートを入れて固定する手術だ。

骨の中は空洞になっていて、骨髄液や血液などが通っているらしい。

その空洞を利用して、金属を入れることによって骨を支えて骨癒合しやすいようにする。

僕の場合は分節骨折と言って骨が2箇所折れているためにより時間がかかってしまう。

しかし、ちゃんと安静にしなければ骨癒合がうまく進まずに偽関節と言って骨が関節のようになってしまう。

(しっかりと体内で生み出される骨の接着剤によって骨がくっ付かずに関節のように不安定な状態になってしまう。)

だからこそ、安静が必要なのだ。

また開放骨折と言って骨が皮膚の外に出てしまっていたために患部の感染なども十分にケアをされていた。

そして、脛の骨折の場合にはコンパートメントと言って筋膜などの圧力を保っている組織がある。

それが大きな衝撃によってコントロールができなくなって大きく腫れてしまったりする。

その圧を逃すために、その部位によってふくらはぎもしくは脛の外側を切る。

僕はそれもあって、手術は一度では終えられなかった。後日その部分は縫合をすることになる。

そして、プレートを入れる手術だが
これがまた驚いた。

ここは本当に病院で、人間の体を手術しているのか?と疑うくらいに壮大かつ壮絶な音が響いていた。

カン、カン、カン!!とトンカチのようなものを叩く音に

チェーンソーなのかなんなのか「ウィーン」という音が鳴り響いていた。

とてつもない長さの鉄が挿入されているような風景も見た。

まさに映画「SAW」の世界だった。
ジグソーはどこにいるんだろうか…。

とにかく見ていられない景色だったので、僕はひたすらに横を見ていた。

僕の先輩も同じ手術を受けていたので、後日その話をしたのだけれど、彼は全身麻酔だった。

そりゃそうだろ…。 。

あの風景を見ながら普通でいられる人はなかなかいないのではないだろうか。

最後の方は懸念していた痛みも少し感じた。麻酔が少し足りなかったかな…と。

そんなこんなで、手術開始から約1時間半ほどで手術は終わった。

手術を終えた僕はよくわからないが看護師さんにこんな事を聞いた。

「コカコーラ飲んでもいい?」

答えはダメだった。

つづく…

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