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自分の物語の観客であれ

人は隙あらば心で物語を作っては右往左往している。

物語を作ることは問題ではない。と言うか物語の中で人は生きていると言っても過言ではない。

問題があるとすれば、自分で作った物語に自分で右往左往していることのほうだ。

だから、まず大切だと思うことは、
なるべく早く気付くことだ。

不安や心配、ネガティブな思考が頭の中に流れているのに気付くこと。
それは事実ではなく、勝手に思考が作り出している物語だ。

あなたは、大海に沈みゆく船に乗っている被害者の乗客ではない。

大海に沈みゆく船という物語を傍で見ている観客が本当のあなただ。

人は時に自分で勝手に物語を作っているのに、それを忘れて物語の虜になって、自分で自分の心を傷つけているときがある。

自分で自分のことをダメだという物語を作り続ければ、本当にダメになってしまう。
いわゆる自己暗示というやつだ。

だからこそ、心の使い方というのは本当にやっかいだと思う。

でも逆に、自分のことをダメだという方向への自己暗示ができてしまう人は、
逆の、自分はすごいのだという自己暗示もやりやすいのかもと思ったり。

でも、それは難しいと感じるかもしれない。

小学生の頃、夏のプールの授業で流れるプールというのをやったことがある。
子供たち全員で、プールの縁に沿って同じ方向に動き続けることで、人工的に流れを作り出すのだ。
ある程度流れができてしまうと、後は浮くだけで体が勝手に進むようになる。
今度は逆に、そこから反対方向に動こうとすると流れに邪魔されて思うように前に進めなくなる。

それと同じで、やり方は一緒なのに、普段から悪い方向に物語を作ってばかりの人は、いきなりポジティブな物語を作れと言っても難しいだろう。

そこはちょっと努力するしかない。流れがきつくて前に進めなくても、それでも進もうとすればいつか流れは逆転する。

せっかく物語を作るという、たぶん他の生物よりも勝っている人間だけの能力があるのだから、有効に使っていきたいものだ。

ただ、やはり前向きな物語よりも、不安な物語の方を人は作りやすいと思う。
たぶん、幸福感というのは案外飽きが早いけれど、悲劇には底がないからだ。

人は物語に刺激を求める。そして求める刺激はだんだんと強くなる。
だとすると、より過激化しやすいのはどちらの方向の物語か、分かるだろう。

だからこそ、人は自分で作っている物語に対して、ちゃんと観客をやらないといけないのだ。

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