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「枯れ葉」 アキ・カウリスマキ@ストレンジャー映画館

フィンランドの名匠アキ・カウリスマキ。2017年の突然の引退宣言から、復活した最新作。
シンプルなストーリーですが、賞味期限切れのパンを持ち換えろうとしてスーパーのパートを首になった女性とアル中で金属工場を首になった男性のラブ・ストーリー。労働者を描いた「プロレタリアート三部作」の延長線上にある作品と言えます。
カウリスマキ独特の役者は無表情、セリフは棒読みが何とも言えぬ情感を醸し出す、正に“沁みる”彼らしい映画でした。
フィンランドは、デンマーク、スウェーデン、ノルウエーと並ぶ称される北欧の国家ですが、
この3つの国が北ゲルマン系民族に対して、フィンランドは、ウラル系のスオミ人で、言語も違い、発音の仕方も含めて、日本語のように響く場合もあります。また、地理的にもロシアに最も近いフィンランド。ヒロインの自宅のラジオからはロシアによるウクライナ侵攻のニュース。チャネルを変えると、日本語の演歌と間違えそうな抒情的なフィンランド語の歌が流れます、彼の作品は、新しいアーティストの演奏をフィーチャーしたリ、映画で流れる歌が妙に配役の心情を表すわけですが、今回は、フィンランドのシンセ・ポップデュオ マウステテュトット(スパイス・ガールズの意味)の曲のシンプルでチープな演奏が、素晴らしいく耳について離れません。
そして今作は、アキの映画愛が全面に出ており、彼が共同経営する映画館で二人がデートします。観る映画はなぜかジム・ジャームッシュのゾンビ映画「Dead Don’t Die」。
上映後出てきた客は、ブレッソンの「田舎司祭の日記」やゴダールの「はなればなれ」と比較。館内にはブレンソンの「ラルジャン」そして、外の壁にはゴダールの「気狂いピエロ」や「軽蔑」メルヴィル.の「仁義」や「穴」、ジャームッシュの「ストレンジャー・ザン・パラダイス」、ヴィスコンティの「若者すべて」のポスターなどが確認できました。
#カウリスマキ


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