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うつわマガジン2020

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2020年4月の記事一覧

ラッパの音と「おからピッツァ」

ラッパの音と「おからピッツァ」

ちょっと音調がずれたラッパが鳴ると、ボウルを持って豆腐を買いに行った。自作のうつわを持って近所のビストロやカフェにテイクアウトに行くたびに、そんなことを思いだす。

ある頃から、豆腐はプラスチックの容器に入り、ラッパの音は消えた。

我が家から3分の場所にある小さな豆腐屋で、先日も新鮮なおからを買った。もう10年以上前のことだが、子どもの学校で「大豆」を深く研究する課題があって、自宅で豆腐をつくる

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春をよそおう「行者にんにくのポタージュ」

春をよそおう「行者にんにくのポタージュ」

北海道から行者にんにくが届く季節になった。

アイヌの民間信仰として興味ふかい話が書いてあったのを思いだし、今年は、病魔の退散を願いながら行者にんにくを料理する。天然痘などの伝染病が流行した際、村の入り口に行者にんにくを掲げ、病魔の退散を願ったというのだ。

転じて、翡翠色をにじませた7寸の皿(食パンが一枚のるパン皿サイズ)に横たわるそれを「行者」に見立てて見つめてみる。

山にこもる行者が滋

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土鍋でつくる米粉ミルクのかぶシチュー

土鍋でつくる米粉ミルクのかぶシチュー

東京のまんなかに住むということ。

空はくらべてみるものではない。大雨を降らせているグレーの空を、どこかの空と比べてはいけない。この期に及んで、日本、東京がせめられている。自粛で自宅にこもることが切ないのではなく、比べてみている空が泣いているのだ。

東京のまんなかに住むということは「協働」の魅力だと思っている。やさしい思考で住めば、日本中、世界中と助け合って生きてゆくことができ、冷たい思考で

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余熱でいこう!陶箱のうつわで「アボカドタマゴ」

余熱でいこう!陶箱のうつわで「アボカドタマゴ」

世界はタマゴのように儚いけれど、エネルギーが加わればかたまり、時にとろりとあなたをうっとりさせる神通力かもしれなくて。なんて願いをこめながら「陶箱のうつわ」でアボカドタマゴを焼いた。

早起きすると「復活祭のおめでとう!」のメッセージがイタリアの友人から届いていた。わたしは信者でないが、郷にいれば郷の文化を客観的に見ることができ、いまは郷を離れていてもお祝いの気持ちを送ることならできる。師匠の元気

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春の東京野草「明日葉のおみおつけ」

春の東京野草「明日葉のおみおつけ」

東京は広い。静かな東京は広く感じる。
日頃から静かに買い物をする人たちは、さらに静かに街を歩く。

小笠原産の明日葉(アシタバ)が手に入った。
東京は広い。小笠原半島も東京都なのだ。近所のお豆腐屋さんが手づくりしたとっておきの「がんもどき」があるので、それと一緒に、おみおつけにしよう。

明日葉(アシタバ)
温暖な太平洋沿岸に自生する植物。成長力が強いので、摘んでも明日また新芽が出るということから

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