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「読書日記#1」〜ものごとを生み出すということ〜舟を編む・三浦しをん

新しい作家の本を読むときはいつもドキドキする。
どんな物語をどんな語り口で届けてくれるのか。
きっかけは妻の一言だった。舟を編むがドラマになるらしいよ。
前から気になっていたタイトルだったので手に取ってみることにした。

全5章からなる辞書作りに携わる人たちの物語。
軽いタッチで読みやすい。語り手はそれぞれの章で異なっている
(主人公の馬締は2回)。
辞書にかける思いはそれぞれ違う。
成り行きで携わる人、自ら飛び込んだ人、請われて携わる人。
その温度差が心地良かった。

悪人が出てこない。みんないい人。で、みんなどこか欠けていて不器用。
お仕事物としてはファンタジーだなって思うところもたくさんあるけれど、
こういう気持ちは持ち続けたいなって素直に思う。

個人的に共感できるのは第3章の語り手の西岡。
誰だって会社の中でやりたい仕事ができるわけではない。
でも、組織の中で自分の役割を察してその役を担うってなかなかできない。
天才だけでは仕事はまわらないんだよって改めて思う。
ちょっといいやつすぎるけどね。

最後の方で少し目頭が熱くなった。
どこかはヒミツです。
心が少しだけ暖かくなるそんな物語でした。
作者の他の本も読んでみよう。


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