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”好き”から学びを始めよう!SOZOWスクール代表・小助川将さんインタビュー(後半)

文部科学省によると、昨年度全国の小中学校で、30日以上欠席した不登校の児童・生徒の数は約29万9000人。10年連続で過去最多を更新しました。
子どもたちの居場所の確保や、多様な学びの場が求められています。

サイボウズソーシャルデザインラボは、2023年7月〜10月、SOZOWスクール小中等部と協働し、「kintone(キントーン)」を活用したプロジェクト型学習を実施しました。子どもたちが楽しく、ワクワクと学べる場について、一緒に探求しています。

今回は、そんなSOZOWスクールへのインタビュー後半!
SOZOWスクールにいるスタッフや保護者とのやりとり、また子どもを取り巻く環境にどのようなことを感じているのか、SOZOW代表取締役・小助川将(こすけがわ・まさし)さんにお話を伺いました。

SOZOW代表取締役・小助川将さん(写真提供:SOZOW株式会社)

1980年秋田県生まれ。慶應義塾大学商学部卒業。経営コンサルティングファームを経て株式会社リクルートやグリー株式会社で事業企画や責任者を歴任後、株式会社LITALICOに入社。執行役員としてITものづくり教育事業LITALICOワンダー事業部長、HR部長を歴任。小学校プログラミング教育必修化の初代有識者委員を務める。自身の子育てで感じた社会課題解決を志し、2019年SOZOW株式会社(旧Go Visions株式会社)創業。

情報提供:SOZOW株式会社

元々は〇〇を作ろうとしていた?!

そもそもSOZOWスクールの前に、小助川さんは別のものを作ろうと創業したそうです。

「元々、2019年にリアルのテーマパークを作ろうと創業したんです。
世の中にはこんなに面白いものがたくさんあるのに、子どもの頃ってみんな同じことを学校でするじゃないですか。面白い大人やテクノロジーもたくさんあるのに、子どものうちは、なかなか出会えません。
僕は秋田の山間地域出身で、東京に上京してきて、広がった世界に驚いた経験があるんですね。なので、子どもの頃にこうした新しい世界に出会うと人生が変わるのではないかと思いました。2020年2月に池袋サンシャインで実施した際には、1万人を超える方にお申し込みいただきました。
その後はコロナ禍に入ったのですが、オンラインだと距離を超えて届けられるかもと思い、オンラインの習いごと『SOZOW PARK』を始めました。」

オンライン習い事・SOZOW PARKには初回から多くの参加者が!(写真提供:SOZOW株式会社)

オンラインは、学校が合わない子たちの居場所になる

「『SOZOW PARK』は2021年1月にスタートしたんですが、しばらくするととんでもないデジタル作品を作る子たちが出てきたんです。さらに驚いたのが、その子たちの多くが不登校の子たちだったんです。作品を見た他の子たちからも『すごい!すごい!』と言われていました。
そこで、このオンラインの場は、学校が合わない子たちの居場所になるし、その子たちがある意味ヒーローになれる場所なのかもと思いました。
だったら平日昼のスクールをやろう!とSOZOWスクールを立ち上げたんです。習いごとがやっとの思いでスタートしたところだったので、スタッフはみんな驚いていたんですが(笑)」

小助川さん

『先生』と呼ばれる人がいない その理由

そんなSOZOWスクールのおもしろい特徴の1つが『先生』がいないことです。どういうことなのか尋ねると、とても興味深い答えが返ってきました。

「大前提として先生という呼び名は一切使っていないですね。
昔はインターネットがなくて、書物や欧米から入ってきた知識を持っている大人ってすごく希少価値が高かったんですよね。だから先に生まれた人、『先生』。その知識を持っている人から知識を取得する、それ以外方法がなかったんですよね。
今は子どもたちのほうが、親以上、先生以上に、デジタル機器やAIを使います。となると先に生まれたとか、年が上かどうかとかは関係なく、大人と子どもはお互いが学び合う関係性なんですよね。
SOZOWスクールには、クラスガイドとメンター、コーチがいます。メンターとコーチは複業者が多く、エンジニアやシェフなど様々な職業の方がいます。」

「シェアパーティ」という子どもたちの作品発表会の、配信準備をしている様子(写真提供:SOZOW株式会社)
「シェアパーティ」という子どもたちの作品発表会の、司会練習をしている様子。楽しそう!(写真提供:SOZOW株式会社)

お互いに学び合う関係ー。確かに私たち大人が子どもたちから教えてもらうことはものすごく多いなと思い、大きく頷きました。
逆に『大人だからしっかりしないと』『教えないと』と思わないことで、大人も子どもとの交流をもっと楽しめるようになるかもしれません。

楽しそうな子どもを見ると、親も安心する

少子化が叫ばれているにもかかわらず、不登校の子どもたちが増えている近年。小助川さんによると、不登校や学び場に対する大人たちの考え方も大きく変わってきているといいます。

「これまでは、子どもが『学校が嫌だ』とか『気分が乗らない』となると、『我慢が足りない』などと言われることが多かったと思うんです。
しかし、SOZOWスクールにいると、そうした保護者の意識も変わってきたように感じるんです。保護者の方も『今は学ぶ選択肢はいっぱいあるよね』『YouTubeやオンライン、フリースクールなど色々あるよね』というふうに考えて、SOZOWの門を叩いてくれます。」

「特に印象的だったんですが、ずっと引きこもっていた子がいたんです。その子は、プログラミングには興味があって、一人でずっとやっていたそうです。でも保護者はプログラミングを教えられません。誰とも話さない、外にも行かない子どもの将来を心配していました。
しかし、SOZOWスクールに通って、エンジニア経験のある人がメンターでつくことになったんです。すると、プログラミングの話を楽しそうにするようになったんです。その姿を見たお母さんは感動して、安心していらっしゃいました。

大人こそ、アップデートが必要

最後に、子どもが『学校に行きたくない』と言った時、どう向き合えばいいのか尋ねてみました。
「今ってある意味学校以外にも楽しいものが増えすぎたんですよね。私たち大人が子どもだった時と大きく違います。なので、これまでの物差しで判断しないこと、大人がアップデートをしていくことが大事だと思います。
子ども視点で問いかけてみる、エネルギー補給の時間を設ける、何より親が混乱せず事実を掴みにいくということですね。」

小助川さん

小助川さんによると、『悩んで悩んで、大きく価値観を広げていくのは保護者』なんだそう。
身につけた常識や当たり前を一度俯瞰してみて、子どもと同じ目線で眺めてみるー。このように聞くと、きっと大人こそ子どもにたくさん成長させてもらっているのかもしれないと感じました。
小助川さん、貴重なお話ありがとうございました!

SOZOWスクールでは、来年4月に高等部をオープンするため、急ピッチで準備をしているそう。また高等部のお話もお聞きしたいです!

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