見出し画像

これも食べちゃダメ!?『子宮を温める健康法』“若杉ばあちゃん”の食養が厳し過ぎるっ!

 書籍などで特設コーナーも度々見かけるそ"若杉ばあちゃん"の本を読んでみました。半年前に子宮筋腫がみつかり(とりあえずまだとても小さいので経過観察中)、相変わらずPMSの症状もありホルモンバランスがよろしくない感じがするので、それもあった。

 なんというか、食についてものすごく考えさせられた一冊。

 若杉ばあちゃんこと若杉友子さんは、大分県出身の1937年生まれ。野草料理研究家・食養指導者。マクロビオテックの提唱者桜沢如一の教えを学び、陰陽ベースの野草料理や食養について広めている方。

 本書でも食物の陰陽に基づいた食生活を提唱。具体的には、極陰性・極陽性の食品を避け、本物の調味料を使い、自然農法の旬野菜と玄米中心の食事にすること。

 が、これが驚いた。「食べちゃダメ!」もしくは「食べない方がいい」というものが、ものすごく多い。

 肉と乳製品、卵はダメ、豆腐は体を冷やすから極力食べない、食べるときは薬味をたっぷり、くらいならまだいいとして(卵、乳製品、卵はともと賛否両論あるのでまだわかる)。納豆は今の納豆は人工菌で作られているからダメ、干物もダメ、マグロやカツオなど赤み魚もダメ、というか魚も毎日食べるな、そして食べていいのは天然ものだけ、きのこは体を冷やし現代のものは自然栽培でないから食べないほうがいい、ナス科の野菜(トマト、ナス、ピーマン)は7月8月以外は食べちゃダメ! 果物も柑橘類以外はダメ!etc……。

 砂糖や添加物を摂るなどころの話ではない。ちなみに、紹介した以外にも食べるなといわれる野菜がたくさんある。

 で、読んでいてとても暗い気持ちになった。

 なぜこんなに極端な物言いなのだろう?と批判したい気持ちまで出てきた。

 ただ納得できることも少なくはない。例えば、豆乳などは確かにお腹が張る感じがしたり「?」と思うことがあったので最近あまり飲まなくなった。お肉もホルモン剤も打たれているだろうし脂肪もあるし食べ過ぎはよくないとは思う。旬の、できれば自然にできた野菜を食べる、根菜や野草などがとても身体に良く積極的に摂るべきというのもわかる。きのこも、野生のもの食べたことがあるけど市販のきのこと全く違う滋味溢れる風味に衝撃をうけたことがある。

 が、しかし、豆腐やスーパーのきのこや魚を頻繁に食べて健康な人も山ほどいる。それに、こんな生活をしているからばあちゃんは健康!というのをウリにしているが、このようなマクロビベースの食事をしておらず魚も卵も納豆も食べている周りの高齢者(自分の祖母や隣に住んでる大家さんとか)も非常に元気だ。

 あと、若杉ばあちゃんの食養実践し「こんな健康に!」「不調が改善されました!」っていう人の例が、もともとパンとか甘いものや乳製品を頻繁に食べていたり美食家だったりという人が多いのも、微妙に納得がいかず。一般的に病気になりやすいといわれている典型の食生活している人なら、バランスのとれた食事にしたらそりゃあ良くなるのでは?つまり、若杉氏の提唱する食事、魚やきのこや豆腐や卵をやめたから健康になったとは言い切れないのでは?とも思った。

 それから、こんなにも食べると危険な食材や伝統食品が溢れているとしたら、それらはなんのために存在しているのだろう?

 確かにどこのものかわからない原料で作られた大量生産の納豆や豆腐に不安を感じることはある。だからといって納豆や豆腐の存在を否定するのは違う気がする(著者は否定しているつもりはないが現代人にはそう聞こえる)昔ながらの製法でふんばっている企業もあるのだろうし、日本に受けつがれてきた伝統食でもある。干物だってそうだ。あと、魚自体もダメっていうのも、日本人だし悲しい。

 常々思うのが、清らかな水とおいしい空気と自然に囲まれた山奥で自給自足しているとかなら別だけど、それ以外の人たちは、生きていく上で有害なものをすべて排除することはできない。極端な話、ストレスだって健康によくないが、生きてる以上ストレスをゼロにすることはできない。できる限り健康的な食生活を送っている人だって江戸時代の人たちだって、ストレスやそれ以外の有害なものを無くすことはできないだろう。

 つまり、生きるって有害なものを蓄積して少しずつ老化して死へ向かうことであり、つまり有害なものにさらされるのも生きることの一つであるように、私には思える。(もちろん何でもかんでも受け入れるのは違うけど。私も添加物と砂糖には結構気を付けている)

 まあ日本人が弱い“ばあちゃん”という立ち位置に惑わされてしまいがちだが、若杉ばあちゃんは、結局のところ「ヴィーガン」なので(魚もほとんど食べないそう)、かなり独自の思想をもっていて当然なのかもしれない。

 で、結論。

 私は、添加物とお菓子、乳製品を極力摂らないは継続。

 旬のものを食べる、納豆や豆腐は適量食べる。魚介類は普通に食べる、体を冷やすといわれるものを食べるときは薬味をたっぷり(薬味美味しいよね!)。楽しく感謝して食べる、って感じかな?

 肉と卵は迷う。今より控えてみるのもいいかもしれない。

 肉食については賛否両論ある。よく否定派から「昔の日本人は肉を食べなかった」と聞くけど、寒冷地帯の人の栄養源としては必要だし古代の人は食べていたとう事実がある。近世の日本の人もよく調べると、食べている。

 ただ、日本では今のように週に何回も食べることはなかっただろうし、昔は人工的に“造られた肉”というのはないわけで、昔の肉と、注射されたりよくわからない餌を与えられている今の造られた肉は別物なのかなとも思う。

 要は、そんなに食べたくてもいいのかなあという感じ。週に何度も食べると「しばらくお肉いいや」みたいな気分になるので、そうやって自分の様子と相談しつつ、感謝していただくことにしようと思う。

 (ただ輸入肉は本当に食べない方がいいと思う。ホルモン剤ばんばん打たれたものが日本に輸出されているから。色々な方がその危険性について指摘してる)

 それから、いろいろ考えて、食べることって単なる栄養補給ではないんだな、ということを実感した。旦那との晩酌の時間とか、友達とあれこれ喋りながらだらだらと飲み食いする時間とか、田舎のおばあちゃん家に行って地の魚でお酒を楽しむ時間とか、料理する楽しさとか、たまゆ母の手作りのおかずを頬張るときの安心感、見た目も美しい料理を見たときの感動とか、そうゆう幸せな瞬間を食物にもらってるんだなあと。感謝の気持ちが生まれた。

 この書籍を読んで、残念なのが、色々な食物に対して「身体によくないかもしれない」というネガティブ意識がにわかにインプットされてしまったこと。きのこや魚や卵や陰性の野菜やら……食物にも申し訳ないような気がする。早く消えろ。ネガティブ意識。

 こんな気持ちになりましたので、これから若杉ばあちゃんの本を読もうと思ってる人は、覚悟して読んだ方がいいかも。私はとりあえずはこの一冊でお腹いっぱいという感じ。添加物もりもりの加工食品ならまだしも、食物自体にネガティブなイメージをこれ以上持ちたくないと思った。

 もしかしたら私がまだ未熟な故に理解できないのかも知れぬが。今の私には必要ないかな。

 ハマる方もいるようだが、そうゆう方がどういう食生活しているのか気になる。ポジティブな使い方があればぜひ教えてほしい!

 何はともあれ食について深く考えるきっかけをくれた本。食についてはとても難しい。色々な人の本を読んでみたい。

 最後にめちゃくちゃ余談なのだが、若杉ばあちゃんの動画も見てみたのだけど、キャラが……、エネルギッシュでちょっと男っぽくちょっとクセありで言いたいことガンガン伝えて、お客さんにもズバズバ言いたいことを言っていた。それを見て誰かに似ている……と思ったが、それは肉好きだったことでも知られる瀬戸内寂聴だった。食に関する意識は対極であろうふたりが、頭の中でリンクするのは一体どうゆうことかと思った。タイプ的には同じ人種の気がする。人間て不思議だ。





この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?