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「ドヤ顔エロースとプシューケーの結婚」

「あぁ、気持ちよかったぁ」
という男の声が聞こえてきそうなドヤ顔ですね。
満足そうに横たわる女は、男の大きな羽枕ですやすやと眠っています。男の陰部は隠されているものの、内腿に女の腕を絡ませあらぬ場所へ誘導しているようです。

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この絵はジャック=ルイ・ダヴィッドが描いた「キューピッドとプシューケー 1817」です。
羽が生えているのでよく天使に間違われますが、弓矢を持ってるのがエロース(キューピッド)です。ここでも、ベッド下から素敵な弓が伸びています。

プシューケーはある王国の三人のお姫さまの一人で、愛と美の女神アプロディーテーに勝るとも劣らなぬ美女と噂されていました。
それを聞きつけたアプロディーテーは、
「この世でもっとも醜い男と恋に落ちるようにしなさい!」
とエロースに命じます。
人間の娘に嫉妬したんでしょうね。

残酷な神々2-65

エロースの金の矢で体を刺されると、次に目覚めたときに出会った異性と強制的に恋に落ちるワケです。ところが、ドジなエロースはその金の矢で自分を傷つけ、プシューケーと恋に落ちます。

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ま、アプロディーテーよりも美しいという美女が相手ですから、ワザと自分で刺したに違いありません。

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アポローンの力も借り、丘の上の宮殿で夫婦生活が始まるのですが、エロースは暗闇の中でしか彼女と会おうしません。上のように情事を楽しんだあと、朝になる前にプシューケーを残し飛び去ってしまいます。

残酷な神々2-64

プシューケーの姉妹たちの、
「あんたの旦那の正体は大蛇の化け物だよ!」
という忠告もあって、眠っている夫を灯りで照らしてしまいます。
そこには化け物ではなく美しい神の姿が現れたのですが、びっくりしたプシューケーは彼の体に熱い油をかけてしまいます。
女の裏切りにあったと思ったエロースは、その場から逃げ出します。

残酷な神々7

その後、エロース探しの旅に出たプシューケーですが、アプロディーテーに捕まっていろいろと無理難題を押し付けられます。
「よくもあたしの息子に火傷を負わせたね!」
と激怒したそうですが、元をたどればアプロディーテーがちょっかい出したせいなんですけどね。

残酷な神々2-62

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大量の穀物の選別・金の羊の毛の採取・龍の住む泉の水汲みという難事でしたが、動植物の不思議な援助ですべて切り抜けます。
惚れたエロースが陰で手助けしてたのでしょう。

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だけどさらなる試練が彼女を襲います。
開けてはならないと言われていた箱を開け、永遠の眠り(冥府の眠り)に就いてしまいます。
これで一巻の終わりかと思っていたら、エロースはゼウスから最終奥義ネクタールを貰いプシューケーを神の仲間として復活させてしまいました。
ゼウスが美少年のガニュメーデースにも飲ませてる不老不死の酒ですね。

残酷な神々2-6

エロースの鳥の羽に合わせるように蝶々の翅が描かれている絵は、ネクタール摂取後の神になったプシューケーの姿です。冒頭二枚の絵でも、それを暗示するように彼女の真上に蝶々が飛んでいます。

「母ちゃん、おれこの人と正式に結婚するよ!」
と言い出す息子に、
「まぁ、神になったんならOKするわ」
と猛反対していたアプロディーテーも折れてしまいます。

こうしてギリシャ神話には珍しくハッピーエンドで終わりますが、プシューケーがエロースに惚れてるのは金の矢の効力なので、本当にハッピーなのかはちょっと疑問ですがね。(了)

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