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映画「ヴィーガンズ・ハム」は人肉食べる系の映画なのに、ポップコーンを美味しく食べながら観れる

※ネタバレあり

世の中には「人肉食べる系」の物語が幾つかあり、その中で「人肉おいしい系」と「人肉まずい系」の二種類に分かれるわけだが、「ヴィーガンズ・ハム」は「人肉めっちゃおいしい系」である。

そして、「人肉食べる系」のほとんどは「ホラー系」と「サスペンス系」に分かれると思うが、「ヴィーガンズ・ハム」は「コメディ系」である。

少なくとも今まで私が観た「人肉食べる系」の映画は、どれも暗い室内でグチャグチャドロドロしながら如何にも気持ち悪く解体したり、解体してる人がサイコパスか頭がおかしな怖い人だったりしていたけど、「ヴィーガンズ・ハム」はあんまりそんなことない。
分解された手足がそのまま映ってもプルンプルンしてて「豚足みたいだな」てなったし、解体してるおじさんは良い人。
犬も可愛い。

血はまあまあ出るけど、他に比べたらそんな出ない方だと思う。
気持ち悪くないどころか、ちょっとハムが食べたくなるくらいの軽さがある。
まぁ当然、グロ苦手な人はキツイかもしれないけど、そんなにグロが苦手な人は「ヴィーガンを殺してハムにする肉屋の映画」を観てはいけないと思う。

物語のあらすじは「ひょんなことから人を殺してしまった肉屋の夫婦が、隠ぺいのために死体を解体し、ハムにして店に出すと、すごく美味しいと口コミで評判になり、注文が相次ぐようになったので、夫婦は次々と人を殺すようになる」みたいな感じ。
割とベタに「人間の欲望と罪と運命のいたずら」的なストーリーである。

だけど、殺しちゃうのが「過激な活動をするヴィーガン」で、ちゃんと普通にムカつく描かれ方をしてるので、肉屋側の気持ちで観てると殺してもそんなに罪悪感が湧かない。
なんならちょっとスッキリする。
殺し方も凄くライトであっさりしてる。

内容は江戸川乱歩なのに、テンポと質感が落語。
オチもごちゃごちゃせずにサラッと終わるので、なんだか晴れ晴れとした気持ちで観終わった。

あたしがこの映画を好きだと思ったところは「死体を解体してる人が、登場人物の中で一番まともなのかもしれない」てとこ。

夫婦で犯行を繰り返してるが、妻側は割としっかり狂ってる。
友人の肉屋夫婦もなんかおかしいし、娘の彼氏もヤバい。
もちろんヴィーガンたちは完全にヤバい。

そんな中で、夫はちゃんと良心とか罪悪感とか危機感を持ってて、おかしくはあるけど1番まともに見えた。

彼は奥さんと離れてまともな肉を売って真っ当に暮らして欲しい。
奥さんは、シリアルキラーについて語る元殺人犯としてテレビで活躍するといいと思う。

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