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O・ヘンリー ミス・マーサのパン を読んで

みなさん、こんにちは。O・ヘンリーの「1ドルの価値 賢者の贈り物」に収録されている「ミス・マーサのパン」を読んだ感想を書いていきます。

あらすじです


ミス・マーサという40代の女性が主人公です。彼女は独身でパン屋を営んでおり、心が優しく思いやりのある真面目な女性でした。

そんな彼女の店に、あるお客さんがよくやってきます。中年男性で眼鏡をかけており、服装はみずぼらしく、いつも古いパン(硬くて一番安いパン)を二つ買っていました。しかし、彼は礼儀正しく、こざっぱりしていました。

今日も中年が男性がやってきて古いパンを二つ買いに来ました。

あら、彼はもしかして画家なのかもしれない。

彼の手には、赤と茶が混じったシミのようなものが付いていました。

これだけ、多くの種類のパンがあるのに、いつも古いパンを二つ買っていく……。そして、着ている服も皺くちゃで、ところどころが擦り切れている。彼は貧乏な画家なのかも。

ミス・マーサは中年男性を見て、そう推測しました。しかし、彼が本当に画家なのか分かりません。

本来だったら、直接聞くのが一番だけど、もし違っていたら、彼を傷つけてしまう。それに、彼とはあまり親しい関係を築いていない……。

そこでミス・マーサは、自分の部屋に置いてある絵画(ヴェニスの市街の風景)を店に置くことにしました。もし、彼が画家なら絵画に反応すると思ったからです。

中年男性がいつものように古いパンを買いにやってきます。

「おや、これは風景画だね」

彼はミス・マーサの思惑通り、絵画に反応しました。

「そうなんですよ、私は芸術とがk……、絵が好きなんですよ」

彼女は彼を見て、あやうく画家と言いそうになりましたが、すぐに訂正します。

「あなたはこの絵を見てどう思いますか?」

「宮殿が……」

「宮殿ですか、あ、素敵ですよね」

「いや、宮殿のね、遠近法の描き方があまりなってないと思いますね。ちょっと惜しい絵ですね」

彼はそう言って、いつものように礼儀正しい挨拶をして店から出て行きました。

間違いない。彼はやっぱり画家だ。

ミス・マーサは中年男性の鋭い洞察力と考察から、彼を画家だと確信しました。それから彼女は彼が店に来るたび、何気ない雑談を交わすようになっていきます。彼も彼女と話すことは唯一の楽しみになっていました。

そんなあるとき。

いつものように中年男性が店にやってきます。皺くちゃで縫い付けている跡が多くある服はいつも通り。しかし、顔をよく見ると、血色が悪くげっそりしており、身体も瘦せていました。

生活が限界になるぐらい、追い込まれているんだわ。

中年男性はいつものように古いパンを二つ買い、ミス・マーサと何気ない雑談をして帰っていきます。

古びた狭い屋根裏で寒さに耐えながら絵を描き、硬くあまり美味しくないパンを齧りながら、その絵に魂を込めていく。

彼女は彼の姿を想像し、胸が痛くなっていました。

ミス・マーサは持ち前の優しさと思いやりを活かし、彼をサポートしようと色々と考えていきました。しかし、いざ行動に移すと、立ち止まってしまいます。

なぜなら

芸術家というのは、苦労がつきもの。おそらく、彼は芸術家という名の誇り高いプライドがある。それを傷つけてはいけない。

彼女は芸術家という名の仕事を知っていたからです。

それでもどうしても、彼を助けてあげたい気持ちが芽生る中、ミス・マーサにチャンスが訪れます。

中年男性がいつも通り、パンを買いに来ていたその日。サイレンの音が街の中で響きます。当然、彼は何が起こったのか気になったので、街の様子へ注意が向いていました。

ミス・マーサは彼が目を離しているすきに、古いパンに切り込みを入れて、栄養豊富で美味しいバターを入れていきます。そして、何事もなかったように切り口を閉じて、紙に包み、古いパンを彼に渡しました。

中年男性が帰った頃。ミス・マーサはバターのサプライズに、彼はどんな反応をするのか、頭の中で楽しく描いていました。

しかし

彼はそのサプライズに腹を立てました。

中年男性は彼女の店に行き、ミス・マーサに向かって暴言を吐き散らしました。いつもの穏やかな彼とは、まるで別人で目を真っ赤にして帰っていきました。

なぜなら

中年男性の正体は、設計図の製図をしている人でした。

そして、コンテストに応募するため、市庁舎の図面を必死に引いていました。そのとき、鉛筆の下書きを消すために、古いパンを消しゴムの代用として、買っていたのです。完成間近だったのに、その日買った古いパンにバターが入れてあった。その図面がどうなったのか、ご想像がつくと思います。


ミス・マーサはそれを聞いて、部屋へと引っ込んでしまいました。


感想です


ミス・マーサのように、思い込みが強く過ぎて、中年男性を画家だと確信してしまい、トラブルになってしまったこと。

これは、現実でもありそうな出来事だと思えました。

第一印象で人や物、情報に対する、先入観は誰しも抱きます。それをどう判断するのかは、人それぞれだと思います。

そして、これまで経験したことや考え、知識をもとに、それに対する印象も違ってきます。

先入観にあまりとらわれすぎないよう、行動していくことが良いのかもしれません。

最後まで読んで頂き、ありがとうございます。


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