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創作大賞2024用 銀山町 妖精綺譚

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創作大賞用2024にエントリーした「銀山町 妖精綺譚」の原稿です。
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記事一覧

銀山町 妖精綺譚(第16話)

外伝二 高齢者福祉センター(平成元年 秋) 「渡部君って変わっているよね」 という話が話…

銀山町 妖精綺譚(第15話)

外伝一 町長室(平成二年 秋)  軽くノックをしてから、総務課長の木村は町長室に入室した…

銀山町 妖精綺譚(第14話)

エピローグ 銀山町 妖精綺譚  平成五年六月十八日 福島県大沼郡銀山町に、日本で初めてと…

銀山町 妖精綺譚(第13話)

第十二章 銀山湖     平成四年七月、妖精美術館の建設予定地を高橋と田中は訪れていた。…

銀山町 妖精綺譚(第12話)

第十一章 銀山町役場   週明けの月曜日、高橋からの報告を受けた飯田は目を真ん丸にして驚…

銀山町 妖精綺譚(第11話)

第十章 宇都宮大学  宇都宮大学校舎の正面入口に場所にある事務室で、受付に出た女性に来訪…

銀山町 妖精綺譚(第10話)

第九章 宝くじ  出勤前に妻に言われた言葉が高橋の心を重くしていた。 「顔色が悪いわ。体調悪いんじゃないの」 体調は悪く無いと思う。ただ妖精美術館の展示品について、何の打開策も浮かばないことが気持ちを重くしていた。若者定住会議は半沢のおかげで乗り切れたが、事態は全く好転していない。破綻へのレールは引かれたままだった。  出勤してきた田中はケロっとしていて、これが若者の特権ということなのかと羨ましく感じた。 「朝から何ですが、妖精美術館の展示品ことで話をして良いですか。先週の

銀山町 妖精綺譚(第9話)

第八章 大暴走  第一回会議と同じ机の配置と人員だが、第三回会議は終始穏やかな雰囲気で進…

銀山町 妖精綺譚(第8話)

第七章 ライトスタッフ  ゴールデンウィーク明けの火曜日、出勤してきた田中に高橋が感嘆の…

銀山町 妖精綺譚(第7話)

第六章 大盛会  五月二日に開催された第二回若者定住会議は、第一回とほぼ同じような机とス…

銀山町 妖精綺譚(第6話)

第五章 妖精の住むふる里   週明けの月曜日、始業時間の前だったが、高橋と田中は出勤して…

銀山町 妖精綺譚(第5話)

第四章 大黒屋旅館   大黒屋旅館で二番目に広い十八畳の部屋には、全部で六台の平机が並べ…

銀山町 妖精綺譚(第4話)

第三章 妖精界入門  採用されて四日目、田中が朝一番で高橋に話かけた。 「高橋主任、御相…

銀山町 妖精綺譚(第3話)

第二章 銀山町   午後の始業を告げるチャイムが庁内に鳴り響いた。 「田中さん、行くか」 「はい、本当に何も持たなくていいんですか」 高橋は軽く頷くと飯田に声をかけた。 「それでは田中に町内を案内してから、郷田に挨拶をしてきます」 「若旦那だな。飯田がくれぐれもよろしくお願いしたいと申していたと、伝えてくれ」 「承知しました。田中さん出よう」 車のキーを持った手で田中を手招きした。  かなり年代物、あちこちに赤錆が出ている白い軽自動車の助手席に座り、シートベルトを手繰りな