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四畳半タイムマシンブルースとともに時をかけるわたしの記憶

今、これを書いているのは夜中の3時30分
こんな時間に起きていると、大学生に戻ったみたいだ。

久しぶりに彼女と連休で
今日は3日目。
楽しい1日を過ごして、美味しいものを食べて
お風呂に入る前に力尽きて、起きたらこの時間。


彼女と、吉祥寺アップリンクに、映画「四畳半タイムマシンブルース」を観に行った。

大好きな作家、森見登美彦と
大好きな劇団ヨーロッパ企画の劇作家、上田誠の
「悪魔的融合」

観に行く前から楽しみだったけど、
観終わって劇場内の灯がついて、ぱらぱらと人が帰る準備をはじめても、すぐに椅子から立ち上がれなかった。
期待以上だった。

ヨーロッパ企画の代表作を
その世界観と魅力を壊すことなく
かつ森見作品要素を存分に入れて書くことができるんだなという驚き。こんなコラボレーションがあるんだなあ。

吉祥寺アップリンクは初めて行ったけど
音響もよくて、
森見作品独特の台詞回しがクリアに耳に届いた。

観ているこちらはその語り口にすべてを預けて
物語は最後まで軽快に駆け抜けていった。


彼女とは、森見登美彦がきっかけで付き合うことになった。
たぶん、森見登美彦が産まれていなかったら、
小説家になっていなかったら、
わたしたちは付き合うことはなかったかもしれない。(大袈裟)

京都という場所もまた、
彼女とは付き合うことになった特別な場所だ。

京都×森見登美彦は、
わたしたちにとって最強のタッグだ。


ヨーロッパ企画に出会ったのはいつだったろう。
わたしがまだ、彼女と出会うずっと前に出会った劇団だった。

東京でやっている演劇を片っぱしから見ていた時代。
当時、劇評とか演劇系のツイートをしている人とか、そういうのを全然見ていなかった自分にとって、出会う劇団や演目は、流行りにかかわらず偶然みたいなものだった。

劇場やタイトル、内容、扱っているテーマ、気になる俳優さん…何かが引っかかったら当時は必ず見に行っていた。

だから、ヨーロッパ企画の「サマータイムマシン・ブルース」の舞台を見に行った時、
“出会えた ”と思った。

なんにも知らない自分は、その劇団がどれぐらい有名かも知らず、
ただただ、心の底から面白いと思う劇団に“ 自力で”出会えたことが、心ひそかに嬉しかったのである。


そんな劇団が、
もうそんなふうな演劇の見方をしなくなってしまった32歳の今、大好きな作家とコラボすることを知った。

しかも隣には、
同じくこの作家が好きで、
お互いの好きなものの話を、
かぶるものもかぶらないものも
いくらでも一緒に話すことのできる彼女がいる。

この映画のことを知ったのは
連勤と理不尽な仕事でくたくたになっていた朝の電車の中だった。

公演期間が短いこともあって
珍しくすぐにチケットをとった。

初めて行く、吉祥寺アップリンク。

観終わったあとのわたしたちは、
最初に書いたとおりである。


吉祥寺パルコのシティベーカリーで
お昼ご飯を食べながら、
ここがよかった、ここが好きだったと、いろんな話をした。

最近また、映画「花束みたいな恋をした」を彼女と見返していたから、
こういう話ができることがまたうれしかった。

森見作品を読んだり見たりしていると、
大学生というものが懐かしく愛おしくなってくる。

わたしたちはもうあれから10年ぐらい経っているけど、そこから好きだったものが続いたり変わったりしながら、今もその延長にいるみたいな話をずっとし続けている。



自力で見つけた話
京都
森見登美彦
それを通じて出会った彼女
と今見ている自分

頭の中のタイムマシンがぐるぐると駆け巡る

今彼女とこれを観ることができている
そんな幸せなことはない。

成就した恋ほど語ることはない、
というのは映画のどこかで出てくる台詞だけど、
わたしたちはこれから先何度も、
あの時に帰って懐かしい話をするんだろう。

好きなものが変わっても、
観るものが変わっても、
彼女とはこんな話をずっとしていたい。

今日観た映画の話も、またしよう。

アクリルスタンドは、田村が当たった
もちぐまが当たった彼女をいーなーと思いつつ
映画を観ると、田村がなんか愛おしくて親近感がわいてくる

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