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飲食店の基本的な考え

飲食店の現場では『習うより慣れよ』の考え方が多く、基本的には同じ系列のお店でも店舗ごとや店長によってハウスルールがあり、運用ルールが違ったりします。

私の経験上、能力もそうですが上手く環境に適用した人材が評価される仕組みが多く評価基準も曖昧だったりします。
『教育』といっても会社やお店にとって都合の良い人材教育が主流で
基本的なことを学ぶ機会は少ないのでここで少しおさらいをしてみます。

お店の分析や改善をするには、基準が必要なのでお店を作るときの考えを
理解しておけばスムーズです。

◆飲食店の廃業率
1年以内での廃業34.5&%
5年以内の廃業率は70%

失敗するお店の共通点は
①なぜ、その場所でその業態を始めたのか?
②なぜ、そのお店はそのレイアウトになったのか?
③なぜ、そのお店はその内装デザインにしたのか?

この3つが不明確な場合で一般的には出店する場所を間違えているか出店立地と業態の不一致だと言われています。

よくあるパターンが料理人が独立するケース。
腕に自信があり好きな料理を活かして安く提供すればお客さまは来ると思っている、いわゆるプロダクトアウトの考え方。

考える順番としては、地域の属性と人気店を調べて客数を予想する。
借りたいと思う物件の賃料の10倍を売るために必要な席数と単価を想定し
トータル的に考えて業態を決めていく。

必要なのはお客さまに『どうやって楽しむお店なのか』を分かり易く伝えること。
地域に求められる業態を選びそれにあわせた店頭・店内・料理・接客で作っていくこと。


◆基本的な経費率と組み立ての考え方

●月商を予想
→席数×満席率×客単価×営業日数

●入店客数・客単価の設定
→入店客数=席数×満席率×回転率、算出した客数と目標売上をもとに目標客単価を設定

一般的な居酒屋は満席率70%といわれています。回転率も2回転目は単価が下がるので平均単価に併せて1.5回転などと設定します。

売上に対して
・原価率         30%
・人件費率      30%
・賃料             10%
・水道光熱費    8%
・その他経費  12%
・営業利益      10%

が一般的な経費率といわれています。

◆店舗コンセプト

どのお店にも必ずコンセプトが存在します。
どうやってお客様に楽しんでもらうか?という設計図です。
その設計図を経営者・料理人・ホールスタッフの全員が共有して設計図に沿った店舗運営・オペレーション運用を行いましょう。

積極的に動いてくれるスタッフが欲しい。
思うようにスタッフが動いてくれない。

経験上、こういったケースの多くは自分の発信不足で伝わっていなかったり行動指針が不明確だから動けないというケースも少なくありません。
ベクトルをあわせて店舗営業を行うためにも共通認識を持ちましょう。


◆人間は欠落した感情を埋めるために
サービスを購入する

人間にはバイオリズムがあり常に一定ではありません。
体調が悪かったり、イライラしたり、逆に楽しい気分だったり。
感情の浮き沈みがあってその穴埋めをするためにサービスを購入するんです。
詳しくは過去の記事を参照https://note.com/tasty_food/n/n79d0676bcaf5

つまり、お客さまがこの店でどうやって楽しめる=どんな感情を味わえるか
を分かり易く伝えるんです。
どの価格帯、店内はどんな環境なのかを店頭で分かり易くすると入店しやすいので意識してみましょう。

◆満足度の方程式

満足度=サービス内容-期待値

来店される方は『安く飲食したい』ではなく『損をしたくない』と思っている。
だから店頭で与えるイメージと実際のサービス、メニュー写真と実際の料理の差でガッカリさせたら期待値の大きさに対してサービス内容の方が小さくなるので満足度の方が低くなり顧客離反の大きな要因となります。

飲食店でよくみかけるのがグランドメニューの写真が『奇跡の一枚』になっていて実際に運ばれてきた料理がショボく見えるパターン。。。
これは出庫が伸びれば伸びるだけ悪い宣伝をしているメニューなのですぐに改善した方がいいでしょう。

満足度をあげるには『サービスの質を良くする』というのが一般的ですが、
方程式の通りで考えると『期待値を下げる』といったことも打ち手としてとして考えましょう。

◆期待値のコントロール

期待値を下げると来店にしてもらえない可能性が出てきますが、
店内にいらっしゃったお客さまの状態で『期待値が低い状態』はどんなときか?を考えてみます。

通常はオーダーをする際にメニュー表で価格帯、メニュー名、もしくは写真を見て注文しますがその際はいくらでどのサービスを購入するかを考えるので期待値が発生しています。
では、お金の掛からないソフトサービスはどうでしょう?
例えば取り皿交換のサービス。
メニュー表に記載されてないうえ注文もしていないのでノーガード状態。
そこに先回りをしたサービスをすると受け手はお得感やホスピタリティを感じます。
期待値が下がったところに先まわりをするというちょっとしたサプライズが
積み重なって満足度をあげお得感を演出します。

◆商品コンセプト

『美味しい料理』と『売れる商品』は明確に違います。
人には好みがあり、比較対象が必ずあります。
『美味しい』には地域差もあるので美味しい料理を安く提供すれば、、、、
ではうまくいきません。

美味しいというのは『機能的な価値』と『情緒的な価値』があり
ストーリーも美味しく感じてもらう為に必要だったりします。
詳しくは過去の記事を参照https://note.com/tasty_food/n/n55256933622b


◆メニューコンセプトを考える

次は『売る商品』と『売らない商品』について。
その前に商品にはカテゴリ毎の見方とはちょっと別に
『利益獲得商品』と『集客商品』という考え方が存在します。

分かり易く例えると100円マック。
100円のハンバーガーは安くて魅力的ですが利益が出る商品ではありません。
ハンバーガーが100円で食べれるという『広告宣伝費』だという考えです。
ではどうやって利益を回収するかといえば、セットメニューのポテトとドリンク。利益獲得商品です。
ちょっと塩味が強かったり濃い味付けにして喉が渇く感覚を覚えさせドリンクオーダーへ誘導する設計がなされています。
つまりサイドメニューを注文して合計した交差原価で利益を回収しているんですね。

また、セットメニューの出庫を伸ばすためにあえて、単品のポテトとドリンクを割高に設定するという手段もあります。
小腹が空いてポテトを頼もうとしたら価格を見るとドリンクとセットの方がお得なのでセットを注文するといった誘導です。
刺身の三点盛りを注文して欲しければ単品の刺身を割高にすると出庫が伸びて単価アップ。お魚のフレッシュローテーション問題も解決できますね。

どうやって満足してもらえるか?

通常、居酒屋であれば滞在時間は2時間前後。
その時間内に何品注文してもらって何杯飲んでもらい楽しんでもらうか。
平均的な成人は一人当たり600~700gの固形物をお腹に入れると満腹になるといわれています。
この条件を満たす環境を提供しいくらの付加価値がつくれるかの勝負です。

入店から退店までの流れをシミュレーションしてどんなオーダーを取ってもらう必要があるのでどう接客するかの基準・マニュアルを作成し一連の流れをスタッフと共有することで
一丸となってお客さまをお迎えできるようになります。


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