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【オカルト】コーポ 日◯ヶ丘 東棟【恐怖体験】


これは私が小学生の時の話なので、今から30年近く前の冬の話です。
同級生のAちゃんが行方不明になりました。
Aちゃんの親友Bちゃん、Cちゃん曰く、「野原で一緒にミニスキーをしていたのに突然いなくなった」とのこと。
その情報を元に、警察や地域の人々が協力して野原周辺を探しました。しかし、一週間経っても痕跡すら見つかりません。

遊んでいた野原というのは、地元の子どもたちの間で幽霊が暮らしていると噂される廃墟「コーポ 日◯ヶ丘」のすぐ眼の前の野原でした。

この廃墟は北海道の戦後開拓の時代に建てられたもので、当時一帯が果樹園だったころ従業員が暮らす宿舎のようなものだったと言われています。
過酷な肉体労働や北海道の冬の厳しさにより命を落とした人、厳しい生活に絶えられず一家心中を図った家族もいたそうです。

以来、無念を抱いた霊が現れるようになり、その霊を閉じ込めるために当時の農場主が窓や壁をコンクリートで埋め込んだのだとか。

廃墟に向かう

一向に見つからないAちゃん。

「廃墟に入り込んで、出られなくなったんじゃないか?」

子どもたちはそう噂し始めました。
しかし、大人たちは一切廃墟を調べようとしません。

当時Cちゃんが好きだった私は、カッコつけるために大人のかわりに廃墟を調べに行こうと提案します。

実はそのアパートには一カ所だけ塞がれていない窓が。冬になり屋根から落ちた雪が軒下に積もると、それを登って内部に入ることができるのです。

聞こえてきた謎の声

日曜日の午後、Bちゃん、Cちゃんとともに廃墟の前に集合。
私はオカルト話はまったく信じていなかったので、探検気分で意気揚々と雪山を登ります。
あと一歩で窓枠に手がかかるところまできた瞬間。
私の耳元に女の声が聞こえました。

「出してくれるの?」

はっきり聞こえました。
BちゃんもCちゃんは下から私を見守っているので、彼女たちの声じゃないのは明らかです。

思わず私の手は止まってしまいます。

「ごめん! 窓に鍵がかかっていて入れない!」

突然恐怖が湧き上がってしまった私は、下にいる二人に叫びます。

「部屋の中は見えない?もしかしたらAちゃんがいるかもしれない!」

怖くて、とてもじゃないけど見ることなんてできません。しかしCちゃんにカッコつけたい手前、なにもせずに降りるわけにはいかないと葛藤します。

グッと恐怖をこらえて身を乗り出しました。

室内は明かりがなく、他の窓は埋められているため真っ暗で何も見えません。
眼をこらしてよく見渡します。

すると奥(おそらく玄関ドアの前)に、なにか動くものが見えました。

「まさかAちゃん?」

息を殺してジッと見ます。

するとまた耳元に

「助けてくれるの?」

さらに大きな声が聞こえます。思わず目をつぶってしまった私。
すると足元の雪が崩れ、体のバランスを崩しました。

「キャー!」

Bちゃんの叫び声が聞こえた気がします。
転落し頭を強く打った私。次に気づいたときは地元の診療所のベッドの上でした。

けっきょくAちゃんは…

そのまま時はすぎ、春。
Aちゃんは雪解けとともに見つかりました。

あの時私が登った雪山の下からです。

警察の調べによると、雪山から転落し気を失ったまま、さらに屋根から落ちてきた雪に埋まってしまったとのこと。

でも私はあの時、室内に見たんです。
しゃがみこんで体を揺らす、女性の姿をーー。

あれがAちゃんを誘い込み、雪山から落としたんじゃないか。
私は今でもそう思っています。

謎のボヤが映り込んでしまいました。

コロナが明け、久々に帰ってきた地元

お盆ということで、地元に帰ってきました。
実家に向かう際、必ず通らなければいけない道に、あの廃墟はまだ残っています。

今ではすっかり藪に包まれていますが、できればもう二度と近づきたくない建物です。

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