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宿泊は「移動式」が常識に?

column vol.1161

気がつくと、1ヵ月後にはGWがやってくる時期になっていますね…(汗)

皆さん、大型連休のご予定は立てていますでしょうか…?

こういう時期こそ、旅に出かけたいものですが、今「移動式」のホテルに注目が集まっているのはご存知でしょうか?

〈ITmediaビジネスオンライン / 2024年3月5日〉

その代表格は「コンテナホテル」

2018年12月、栃木県に1号店をオープンした「HOTEL R9 The Yard(ホテル アールナイン ザ ヤード:R9)」は、24年2月末時点で77店舗2696室まで拡大しているのです。

稼働率は約80%の「コンテナホテル」

使用しているのは建築用に開発された専用のコンテナモジュールで、ドアを開けると、ベッドデスク風呂トイレが付いた住空間が広がります。

ITmediaビジネスオンライン / デベロップ社

部屋は全体の8割ほどがダブルルームで、残りをツインルームに。

内装はこんな感じです。

ITmediaビジネスオンライン / デベロップ社

寝心地を重視して、ベッドはラグジュアリーホテルでも多数導入されている高級寝具メーカーの「シモンズ製」を採用。

お一人様がメインなのですが、快適性を優先し、あえてダブルサイズにしているそうですよ。

レストランや共有設備はないのですが、各部屋に電子レンジが設置。

コンビニなどでお弁当を購入しても、すぐに食べられます。

また、充分なサイズの冷蔵庫空気清浄機もあるので、普通のホテルと変わりませんね。

さらに、各部屋が独立しているため、周囲の部屋の音が気になりづらいメリットもあるのです。

ブランド誕生から5年が経過した現在、稼働率は約80%(開業1年以上が経過した店舗のみの集計)。

リピート率は約40%にのぼっています。

災害時は “移動する” 仕組み

出店は主にロードサイド

R9を運営するデベロップ社の専務取締役 楠原誠二さん

40~50の部屋の需要はあるけれど取り残されている場所として、ロードサイドに展開することにしました」

と、出店戦略についてお話ししております。

立地を決めるにあたり、同社が主な指標としているのは、各自治体

(1)全体の就業者数
(2)飲食やホテルなどのサービス業に従事する就業者数

のバランス。

全体の就業者数に対して、サービス業の就業者数が同社の指標よりも少ない場合、ホテルが不足している可能性が高いとのこと。

そういった地域のインターチェンジを軸として、工業団地などの産業集積地への導線を考えながら立地を選定しているそうです。

その上で、個室内の設備にこだわりつつ、価格帯はビジネスホテルの中央値よりもワンランク下に設定。

これがR9の勝ち筋なのです。

さらに言えば、地方では宿泊者の約3割が地元の方だという統計もあるそうで、ニーズが高いと言えますね。

そして本日のテーマである「移動式」ということでいえば、災害時の避難所や仮設住宅、診察室としても活躍。

ITmediaビジネスオンライン / デベロップ社

全国の自治体から注目され、24年2月末時点で135の自治体と災害協定を締結しています。

この移動可能ホテルは、新しいカタチの社会貢献型ホテルでもあるのです。

「災害支援型ホテル」が4月にオープン

「災害時に支援」といえば、4月1日にオープンするホテルがあります。

それが、「Trailinn(トレイルイン)秋田港」です。

〈毎日新聞 / 2024年3月4日〉

毎日新聞 / Trailinn秋田港

トレーラーの荷台部分を木造の部屋にしたトレーラーハウスを宿泊施設に。

【シングルルーム】
11部屋
…長さ約5.8m、幅約2.2m、高さ約3.3mで重さは約3.4t

ユニットバスキッチン洗濯機電子レンジを備え、ビジネスホテルの部屋とほぼ同じ感覚で利用できます。

加えて、ダブルルームも4部屋あるそうです。

こちらのホテルも、地震などの有事には移動させることもでき、販売関係者は

「これまでホテルや住宅は固定された場所、という考えが強かったが、場所を自由に移動できる柔軟さに注目する人は増えている

と、今後の需要拡大に期待しています。

ちなみに、注目の高さから、1部屋あたり約660万円からの投資物件としても対応するとのこと。

一人三役のホテルなのです。

まるでホテルのような「キャンピングカー」

コンテナホテルも、トレーラーホテルも、災害時にしか移動しませんが、常時「移動」するホテルもあります。

それが、「van hotel」です。

〈まいどなニュース / 2023年8月12日〉

名前に「hotel」とありますが、正式にはホテルのような居心地を実現したキャンピングカーのレンタルサービス。

私の地元・横浜の建築設計事務所トリプルスリーアーキテクツが昨年ローンチいたしました。

まいどなニュース / トリプルスリーアーキテクツ
まいどなニュース / トリプルスリーアーキテクツ

ベッドは1階と2階(運転席上部)にあり、快適に過ごせるのは大人2人程度(最大定員は4人 / 小型ペット同伴可)

高級家具に使われることも多いナラの木材左官材などを使って落ち着きのある内装に。

キッチンにはステンレスシンクがあり、キャンプ時などは車外までスライドできます。

また車後方のリヤゲートを開け、ウッドデッキとして使うことも可能。

既存のキャンピングカーでは「空間としてホテルや旅館などと比較すると満足しえない」と感じたのがきっかけで開発しただけあって、快適性や機能面にこだわりが詰まっています。

グラマラス(豪華な)なキャンピング体験を「グランピング」を呼びますが、こちらは単なるキャンピングカーではなく「グランピングカー」

今後は、こうしたラグジュアリーラインが他にも見られるでしょうね。

〜ということで、本日は「移動式ホテル」というテーマで話をさせていただきました。

コンテナホテルや、トレーラーホテルは、仮にマーケティングリサーチに失敗しても、他地域に移転することもできるので、リスクヘッジにもなりそうですね。

さまざまな点で新しい可能性を感じた本日の事例たちでした😊


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